November, 29, 2022, 和光--理化学研究所(理研)開拓研究本部 染谷薄膜素子研究室の福田 憲二郎 専任研究員(創発物性科学研究センター 創発ソフトシステム研究チーム 専任研究員)、染谷 隆夫 主任研究員(同チームリーダー)の国際共同研究グループは、開発した厚さ約1.3µmの伸縮可能な導体が皮膚および臓器(神経)へ良好に密着し、生体情報を取得するためのセンサ用電極として使用可能であることを実証した。
研究成果は、今後、生体組織に匹敵する柔らかいセンサを開発することで、伸縮性が高く耐久性に優れた次世代生体適合性エレクトロニクスの応用につながるものと期待できる。
今回、国際共同研究グループは、厚さ約1µmのシリコーンゴム基板上にマイクロクラック構造を持つ金を成膜することで、伸縮性に優れた導体を開発した。この極薄伸縮性導体は導電性を維持しながら、約300%の引張ひずみを示し、ヒトの皮膚やラットの神経と良好に密着する。薄いイオン伝導性ポリマ層と組み合わせると、水中でも皮膚に強い接着性を示し、手洗いなどの日常生活や水泳などの激しい運動中でも心電図を安定に計測できた。また、神経へ電気的刺激を与え、生体信号を高い信号対ノイズ比[SNR]で取得するといった、体内埋め込み型の電極としての可能性も実証した。
研究成果は、科学雑誌『Nature Electronics』オンライン版(11月21日付け)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)