November, 8, 2022, Munich--人間は、眼と耳を使って潜在的な危険に関わる交通状況を収集する。自動運転車が同じことをするには、多くのセンサが必要になる。しかし、搭載するセンサの数が増すにつれて、それらを収容するために必要なスペースも増加する。設計者のビジョンとは相容れないことがよくあるものである。今回、Fraunhofer-Gesellschaftの研究者は、一定のセンサを体よく組み込む方法を見つけた。ソリューションは、自動車のヘッドライトにある。そこに光学ライト、レーダ、LiDARを統合する。
ヘッドライトに組み込まれたレーダとLiDARセンサ
Fraunhoferの5研究機関(Institute for High Frequency Physics and Radar Techniques FHRが含まれる)が、Smart Headlightプロジェクトの一環として協力し、機能、パフォーマンスに妥協することはなく、可能な限り省スペース、巧妙なセンサ実装法を実現した。プロジェクトの目的は、運転者支援システム向けにセンサ組込ヘッドライトの開発である。これにより、適応光学システムを備えた広範なセンサ要素の統合が可能になる。これは、センサの路上物体、特に歩行者など他の道路ユーザの検出力向上になる。例えば、LiDARセンサは、電子ブレーキ支援、あるい距離制御システムで利用できる。
「われわれは、すでにそこにあるヘッドライトへレーダとLiDARを組み込もうとしている。さらに、それらは光センサ、光源に可能な限り最高の伝送を保証するパーツであり、モノをきれいすることができる」とFraunhofer FHR研究者、Freialdenhovenは話している。LiDARセンサは、放出レーザパルスと反射光の受信の間の時間の判定に基づく計測原理で動作する。極めて正確な距離計測法である。
ヘッドライトセンサ実現の最初の段階は、自動車技術への組み込みに適したLiDARシステム設計の必要性。ヘッドライトにより道路に投影される光が2つのセンサで邪魔されないように考慮する必要もある。例え、光に関与するLEDsがヘッドライトから離れて後ろにある場合でも邪魔されないこと。この理由のために研究者は、LiDARセンサをヘッドライトケースの上に、レーダを下に設置している。同時に、両方のセンサシステムからのビームは、LEDライトと同じパスを辿る必要がある。関連する全てのビームが異なる波長であることから、難しさか増す。ヘッドライトの可視光は、400~750nm、それに対して赤外LiDARビームは、860~1550nmで、可視広範囲に近い。他方、レーダビームは、4㎜の波長である。「これら3つの波長は、同軸に融合される必要がある。つまり同じ軸に沿ってである。これこそ、マルチスペクトルコンバイナというモノが必要となるところである」(Freialdenhoven)。この方法でビームを同軸にガイドすることは、もつれを解くことが困難な、視差エラー阻止に極めて重要である。加えて、センサを相互に隣同士に配列することは、軸構成よりも著しく多くのスペースをとる。したがって研究チームは、バイコンバイナとして知られるものを利用してこれを回避する。LED光とLiDAR光を統合するためにこのソリューションは、特殊コーティングを施したダイクロイックミラーを利用する。これは、2つのビームバンドルを波長選択反射により単一軸に沿ってガイドする。同じ効果は、第2のコンバイナでも起こる(波長が非常に異なるので、もっと複雑な方法)。ここでLED光、LiDAR光、レーダが統合される。レーダセンサは、すでに自動車分野で広く利用されているので、バイコンバイナ設計は、メーカーが変更不要で既存センサを使い続けられるようにする必要がある。
レーダシステム:霧を貫く
では、光システム、LiDAR、レーダを組み合わせる理由は何か。「個々のシステムは強みと、弱点を持つ」とFreialdenhovenは説明する。例えば、光システムは、視界不良、霧やホコリの環境などの状況では限られたパフォーマンスであることが分かっている。他方、レーダは、濃霧を楽々と処理できるが、分類は得意ではない。モノがヒトか木かどうかは示せるが、その能力はLiDARシステムでは何でもない。「われわれはレーダとLiDARのデータ統合に取り組んでいる。それは、信頼性面では、大きな価値となる」(Freialdenhoven)。チームは、すでに特許を申請しており、現在、プロトタイプの作製に取り組んでいる。
その技術は、センサを運転者支援システムに組み込むための多くの付加的オプションを造るように設定されている。より小さな光モジュール、よりコンパクトなLiDARセンサ、集積レーダセンサが、マルチセンサコンセプト実現を可能にする。特に自動運転技術を視野に入れていいる。そこでは設計要件がますます厳しくなり、設置スペースが限られている。結果、将来の自動運転システムは、ヒトを検出できるだけでなく、スピードを分析し、車輌との関連で位置づけられる距離と角度を分析できるようになる。
スマートヘッドライトプロジェクト
プロジェクトの目的は、運転支援システム向けにマルチセンサ組み込み適応型ヘッドライトの開発である。
これには多くのFraunhofer研究機関が関わっている。
(詳細は、https://www.fhr.fraunhofer.de)