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量子光のパルス波形を自在に制御する手法を開発

October, 31, 2022, 東京--今回、東京大学の高瀬寛助教と古澤明教授らは、日本電信電話株式会社(NTT)、情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所の研究チームと共に、あらゆる量子光を所望のパルス波形で出力する光源である「量子任意波形発生器(Q-AWG: Quantum Arbitrary Waveform Generator)」を提唱し、その核心となる技術である量子光のパルス波形を自在に制御する手法を実現した。
 これにより、現在開発が進んでいる大規模光 量子コンピュータの作動に必要な、特殊なパルス波形を持つ量子光の生成に初めて成功した。

 レーザの発明が科学技術の発展に大きく貢献したように、優れた光源の開発は知的フロンティアを開拓する原動力になる。レーザ光を任意の パルス波形で出力する「任意波形発生器(AWG: Arbitrary Waveform Generator)」は現時点で最も汎用性の高い光源の一つだが、古典光であるレーザ光のみを扱うという性質上、 量子技術への応用には限界がある。量子技術の開発という現代科学の重要な課題に挑むには、 量子光を自在に出力する新しい光源が必要となる。

 今回実現したシステムの拡張により量子任意波形発生器を開発すれば、光量子コンピュータをはじめとするさまざまな量子技術の実現に貢献する「究極の量子光源」になると期待される。
研究成果は、2022年10月28日(米国東部夏時間)に米国科学誌「Science Advances」のオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.nict.go.jp)