Science/Research 詳細

光ファイバに微小マルチコンポーネントビームシェイパーを作製

October, 14, 2022, Washington--イスラエルSoreq原子力研究センタの研究者は、3Dレーザプリンティングを使って高品質、複合ポリマ光学デバイスを光ファイバ端に直接製造できることを示した。
 このタイプの微小光学デバイスは、細部が人の髪の毛よりも小さな径であり、様々なアプリケーションで光ビームを調整する極めてコンパクトで安価な方法となる。

イスラエル、Soreq原子力研究センタの研究チームリーダー、Shlomi Lightmanは、「ファイバから光が出るとき、それを次の位置にルーティングするために大きなバルク光学素子が一般に利用されている。われわれのアプローチは、ルーティングプロセスをファイバ自体に組み込むことで、このプロセスのサイズとコストを最小化する」と説明している。

Optics Letters誌で研究チームは、微小マルチコンポーネントビームシェイパーをどのようにしてファイバに直接作製したかを説明している。同デバイスは、通常のレーザ光をツイスト・ベッセルビームに変換する。これは軌道角運動量を持ち、一般的な光ビームのように空間で広がらない。

研究チームは、5分以下でマイクロ光デバイス全体を作製した。マイクロ光デバイスを備えた光ファイバは、100ドル以下、同様の機能を持つ標準顕微鏡対物レンズのコストの1/10程度である。

「光ファイバから直接ベッセルビームを作る能力は、粒子の操作、ファイバ集積誘導放出抑制顕微鏡(STED)、超分解能画像を生成する技術に利用できる」(Lightman)。「われわれの製法を使ってスマートな小構造をプリントすることで、安価なレンズをより高品質のスマートレンズにアップグレードできる」。

精密計画
微小光学デバイスを作るために研究チームは、3Dダイレクトレーザプリンティングという製造技術を利用した。これは、フェムト秒パルスのレーザビームを利用して感光性光学材料に2光子吸収を作成する。2光子吸収が起こる微小量のみが固化する。高分解能3D素子の作製法である。

この3Dダイレクトレーザプリンティングは、しばらくの間、使われていたが、ファイバにそのような小さなオプティクスを作製するときのスケールとアライメント精度達成が難しい。「われわれは、製造プロセスを始める前に、高精度2Dおよび3Dシミュレーションを行うことでこの障害を克服することができた。加えて、われわれは光素子の相互集積法、ファイバコアとのアライメントに関して慎重に考察しなければならなかった」。

シミュレーションに基づいた慎重な計画の後チームは、商用3Dダイレクトレーザ書き込みシステム、高い光学品質感光性ポリマを使用して、高さ110-µmの光学デバイスをシングルモード光ファイバ端にプリントした。径60-µm、高さ110-µm。デバイスは、光コリメーション用パラボリックレンズと光をツイストするヘリカルアクシオンレンズの両方を含む。これは、既存ファイバの光をツイストベッセルビームにする。

高品質光伝播
製造された光学デバイスの品質分析のためにチームは、改良ファイバからの成形ビーム伝播を捉える光学計測システムを構築。ビームの非常に低い回折を観察した。これは、STED顕微鏡や粒子操作などのアプリケーションにそれが有用であることを意味する。

チームは、製造された微小光学デバイスに損傷が起こるまでにレーザパワーは、10MW/㎠に達することを確認した。このことは、デバイスがガラスよりも高出力からの熱損傷の影響を受けやすいポリマで作られていても、比較的高いレーザパワーを利用できることを示している。

精密な多元素マイクロオプティクスが、この直接3Dレーザプリンティング法を使って作製できることを研究チームが実証したので、チームは低パーセンテージのポリマを含むハイブリッド感光性材料をで実験を行っている。これらの材料により、一段と高品質の光学部品の製造が可能になる。つまり、ポリマ材料に比べて寿命が長く、高出力レーザに対する耐性が高い。