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NISTディテクタでエンタングル3フォトン検出

September, 17, 2014, Gaithersburg--カナダのウォータールー大学(University of Waterloo)の研究チームは、初めて技術的に使える状態で直接3フォトンをエンタングルした。この成果の一部はNISTが開発した超高速、超効率シングルフォトンディテクタによるものである。
 エンタングルメントは、量子の世界の特殊な特徴であり、その状態では個々の粒子の、ある特性がリンクし、1つの粒子の量子状態を知ることが他の量子状態を知ることになる。エンタングルメントは、量子情報系で重要な役割を果たす。この成果以前には、脆弱な量子状態を破壊することなしには、2つ以上のフォトンをエンタングルすることは不可能だった。
 エンタングルした3フォトン(トリプレット)は、量子コンピューティングや量子通信で使用できるようになる。研究チームは、エンタングルした3フォトンを用いて量子力学の重要なテストを行った。
 Waterloo/NISTの実験では、1時間に660のトリプレットで偏向エンタングル-垂直または水平方向-したトリプレット(triplets)を生成した。
 NISTの物理学者、Krister Shalm氏によると、NISTのディテクタによってデータ取得は100倍高速になった。「このディテクタによって、以前にはできなかったことができるようになった。全てが高速になり、実験は遙かに安定的にでき、われわれの結果の品質も大きく改善された」。
 実験は、垂直と水平の両方に偏向したブルーフォトンからスタートした。2つの状態の重ね合わせは、量子の世界特有のもう1つの特徴である。フォトンは特殊結晶を通して送られ、2つのエンタングルした赤色ドーターフォトンに変換され、それぞれが元のエネルギーの半分を持つ。研究チームは、このペアが確実に同じ偏向を持つように設計した。次に、1つのドーターフォトンは別の結晶を通して送られ、第2のドーターフォトンとエンタングルした2つの近赤外グランドドーター(孫娘)フォトンを生成した。
 結果は、同じ偏向状態の3つのエンタングルしたフォトンで、これらは水平か垂直かのいずれかである。このことは量子コンピュータ、量子通信システムでは0と1を表す。グランドドーターフォトンは、一般に通信で使われる波長を持つので、ファイバ伝送が可能であり、実用的なアプリケーションでは1つの優位性となる。
 トリプレットは稀である。このプロセスでは、カスケードダウンコンバージョンと言い、最初の状態が約10億回に1回、第2はこれより遙かによくて、100万回に1回得られる。一連の3フォトンの27の可能性のある状態に対して実験的偏向結果を計測するために研究チームは、数千のトリプレットの量子状態スナップショット計測を行うことで法的再構築を行った。NISTのディテクタはこれらの作業で役割を果たすことができ、時間の90%以上で個別フォトンを通信波長で検出、計測することができた。
 超伝導ナノワイヤシングルフォトンディテクタには、NISTの最近の重要な改善、主としてケイ化タングストンを利用する、改善が含まれている。これによって特に効率が大幅に向上した。
 トリプレットの品質と有用性を実証するために研究チームは、局所実在性をテストした。これは、量子理論が予言するように、エンタングルした粒子が計測される前に特定値を持たないという証拠を見つけることである。研究チームは、そのような連続したトリプレットの1つを計測した、目的は残るエンタングルペアの存在も言うことができることを示すためである。このようなオンデマンドシステムは量子リピーターで使える。これによって量子通信システムの範囲が広がり、秘密のデータ暗号キーを共有することができる。
 新しい材料、その他の手段を用いることで変換効率をが改善されると、ダウンコンバージョンプロセスの段階が増え、4個あるいはそれ以上のエンタングルフォトンの生成が可能になるかも知れない。
(詳細は、www.nist.gov)