October, 4, 2022, Cambridge--オンチップレーザ周波数コム-多数の周波数、つまり光の色を櫛の歯のように分離して同時に放出するレーザは、環境モニタリング、光コンピューティング、天文学、計測学などの幅広いアプリケーションに有望な技術である。
しかし、オンチップ周波数コムは、まだ1つの深刻な問題の制約を受けている。常に効率的というわけではない。効率問題を緩和する方法はいくつかあるが、それらは全てトレードオフに悩まされる。例えば、コムは、高効率か高帯域が可能であるが、両方は可能でない。効率と高帯域の両方を備えたオンチップレーザ周波数コムの設計ができかないことが長年、研究者を窮地に追い込み、これらのデバイスの広範な商用化を阻んできた。
今回、Harvard SEASのチームが以前の最先端バージョンと比べて100倍以上効率的、2倍以上の帯域を持つ電気光学的周波数コムを開発した。
「われわれのデバイスは、実用的な周波数コムジェネレータに道を開き、新しいアプリケーションに扉を開く。また、光物性の新領域を研究するためのプラットフォームになる」と研究のシニアオーサ、SEAS Tiantsai Lin Professor of Electrical Engineering、Marko Lončarは、話している。
研究成果は、Natue Photonicsに発表されている。
この進歩はLončarとチームの以前の研究に立脚している。
2019年、Lončarのラボは、マイクロ波で制御できる初の安定したオンチップ周波数コムを実証した。これは、いわゆる電気光学周波数コムであり、同ラボが開発したLNプラットフォームに立脚している。通信帯域全体に広がるが、その効率に制限があった。2021年、チームは、光の流れを制御する結合共振器を開発し、それらを使ってオンチップ周波数シフタを実証した。これは、ほぼ100%の効率で光の色を変えることができるデバイス。
その最新の研究を2つのコンセプトに適用し、電気光学周波数コムベースの共振器の課題、効率-帯域トレードオフに対処した。
「これら2つのアプローチを統合することで-電気光学周波数コムと結合共振器-、われわれは帯域を犠牲にすることなく効率を大幅に改善できた。実際、われわれは、実質的に帯域を改善した」と研究の筆頭著者、Yaowen Huは話している。
「コムソースのパフォーマンスをこのレベルまで改善すると、デバイスは全く新しい領域、電気光学周波数コムジェネレータと、カー周波数コムのより従来的なアプローチを統合する新しい領域でデバイスが動作を始めることをわれわれは確認した」と論文の共著者、SEASの前ポスドクフェロー、Mengjie Yuは説明している。同氏は、現在サザンカリフォルニア大学准教授。
この新しいコムは、ハイパワーで超高速フェムト秒パルスを生成できる。高効率とブロードバンドとともに、このデバイスは、天文学、光コンピューティング、測距や光計測のアプリケーションに使える。
(詳細は、https://www.seas.harvard.edu)