September, 30, 2022, Washington--UC Davisの研究チームは、光網膜造影(optoretinography)を行う簡素で素早い方法を開発した。これは、眼の網膜で光誘導機能活動を計測するイメージング技術。網膜は、眼の背後のニューロン網であり、光の検出、視覚の開始に関与する。米国では、60歳を超える人々の50%以上が、黄斑変性や糖尿病性網膜症などの網膜疾患に罹っている。これらの疾患は、視力低下のような仕方で網膜の機能に影響を与え、処置しないと失明に進む。新しいアプローチは、眼疾患のための新たな処置開発促進に役立つ。
「オプトレティノグラフィは、一般に、非常に高価な装置を使う。操作には複数の専門家が必要であり、広範なコンピュータリソースを必要とする膨大なデータ量も生成する。われわれは、それをより安価、迅速にする方法を考案した」とUC Davis研究チームリーダー、Ravi Jonnalは、コメントしている。
研究チームは、新しいアプローチをOpticaに発表した。また、3人の健康な被験者で網膜反応を計測するその方法の能力も実証した。
「速度ベースオプトレティノグラフィは、網膜の機能損失について、より正確で早期の情報を臨床医に提供できる可能性があるが、その最初の実際のインパクトは、網膜疾患の新しい処置のための臨床治験促進の可能性が高いことである。アイチャートなど従来のテストよりも網膜機能が、改善あるいは悪化しているかどうかを検出できるなら、治療法の開発は大幅に加速する」とJonnalは話している。同氏は、インディアナ大学Don Millerのラボで博士課程学生として、最初のオプトレティノグラフィ計測の一部を担当した。
形状変化の追跡
オプトレティノグラフィは、網膜で信号を生成し、導くニューロン形状のわずかな変化を検出する。今まで、Jonnalや他の研究者は、適応型オプティクスとOCTを使って、生きた、動く眼のこれらニューロンを可視化し、追跡してきた。さらに、画像を安定化し機能反応を抽出するために動きを補正するアルゴリズムを適用した。このコストがかかり、時間を消費するプロセスは、個々の細胞特性の位置を解明して追跡し、その細胞が形を変えたかどうかを判定するためにその位置を利用する必要がある。
「われわれが適応型光学系を使って、オプトレティノグラフィ計測を行うとき、実験は半日かかり、処理すべきデータはテラバイトになる。機能信号を抽出するためのデータ処理は、最少でも、さらに1日か2日かかる」。
個々のニューロンを解明、追跡する必要性を回避するためにJonnalとチームは、代わりに、網膜ニューロンが互いに相対的に動くスピードを計測することができるかどうかを知りたかった。「例え、機能の位置が細胞毎に変わっても、細胞が互いに相対的に動くスピードは、細胞間で高い相関性があると考えていた。これが、正しいことが証明された」とJonnalは話している。
動くニューロンを計測
速度ベースオプトレティノグラフィを実行するためにチームは、新しいOCTカメラを開発した。これは、一人のオペレータが、他のアプローチで可能なよりも、網膜から多くの位置から画像をオプトレティノグラフィに収集できる。
研究チームは、三人の健康なボランティアからの計測を収集するためにそれを使ってその新技術を実証した。チームは、各患者からわずか10分でデータを取得し、そのデータを処理し、2、3分以内で結果を得た。簡単なアプローチで計測された機能オプトレティノグラフィ反応は、使用した光刺激量でスケールし、また用量刺激反応は、ボランティア内およびボランティア間で再現できることを研究チームは示した。
研究チームは、病気に関連する機能障害に対するその技術の感度を実証する目的で現在、実験を計画している。Jonnalは、それを患者イメージングに使い、遺伝性網膜疾患の幹細胞治療や遺伝子治療のトライアル結果の解釈を支援するためにUC Davisの臨床医と協働している。研究チームは、その新しいオプトレティノグラフィアプローチを網膜疾患の動物モデルにも適用したいと考えている。