September, 30, 2022, Washington--中国、武漢大学の研究チームは、照明光次第で3つのタイプの画像を表示できるメタサーフェスデバイスを開発した。その3チャネルデバイスは、偽造防止対策として利用でき、安全に暗号情報を供給する新しい方法にもなる。
「メタサーフェスは、光を操作するために利用できる微小なナノ構造をもつ人工材料。この研究では、われわれは、3つの動作モードを備えたメタサーフェスを設計するためにナノ構造のサイズと方向の両方を利用した」と武漢大学、研究チーム、リーダー、Qi Daiは話している。
研究チームは、Optics Expressで新しいデバイスを説明している。また、使用される光に応じて、そのメタサーフェスがホログラフィ像あるいは、偏光依存透かしのある、なしの構造色ナノプリンティング画像を生成することも示した。
「われわれの微小メタサーフェスは、偽造防止のために、硬貨、IDカード、クレジットカード、証明書、時計や指輪に簡単に取り付けられる。この多機能メタサーフェスの特徴は、二重の保護なので、偽造対策に簡単ではあるが効果的なアプローチを提供する」(Dai)。
スリー・イン・ワンデバイス
他のメタサーフェスベース偽造防止デバイスが開発されてるが、隠された情報は通常、表面から、あるいは遠視野ホログラフィック画像のいずれかから引き出される。より安全な3-チャネルメタサーフェスを造るために研究チームは、透かしのある構造色ナノプリンティングとホログラフィックイメージングをデバイスに統合した。これは、透明基板上に配列された微小なナノブリックでできている。
ナノブリックのサイズと方向を注意深く設計することでチームは、構造色画像を開発した。その画像はデバイス表面に現れ、また遠視野に現れるホログラフィック画像にも見える。インクあるいは染料に頼る代わりに、構造色は様々な幾何学的パラメタを持つナノ構造を使って、透過され、あるいは反射される光のスペクトルに直接影響を与えることで色を生成する。
透かしなしのある構造色ナノプリンティング画像は、自然光照射で直ぐに観察できるが、一方で透かしパタンで覆われた同じ画像は、光偏光子によってのみデコード可能である。第3チャネルのホログラフィック画像は、コヒレントレーザ光下でのみ観察可能である。
付加的セキュリティ
「われわれのメタサーフェスが偽造防止に使われるとき、透かしのない構造色ナノプリンティングは、スマートフォンのカメラを使って簡単に観察できる。透かしパタンは、認証に必要な情報をエンコードできる。それが、光偏光子を使ってのみ現れるからである。ホログラフィック画像は、レーザポインタで再現されるが、これは、セキュリティに第2レイヤとして利用可能である」(Dai)。
新しいメタサーフェスデバイスを実証するために研究チームは、標準的な電子ビームリソグラフィを使ってサンプルを作製した。透かしありと透かしなしのナノプリンティング画像は、光学顕微鏡を使って観察された。一方、ホログラフィック画像は、コンティニウムレーザ、虹彩、レンズで構成される光学経路、サンプル、光学スクリーンを使って可視化された。
「われわれの実験では、透かしのある構造色ナノプリンティングが高い偏光感度があり、明るい色効果でクリアなビジュアルを生成することが分かった。われわれは、設計されたメタサーフェスが、480~650nm程度の広い波長範囲でホログラフィック画像を生成できることを確認した」(Dai)。
研究チームは、その新しい多機能メタサーフェスと他の材料、液晶や黒リンを組み合わせて動的で、より多彩な光制御を実現する計画である。また、メタサーフェスが光コンピューティングやバイオメディカルセンシングにどのうに使えるかを研究し、新しい材料の量産方法にも取り組んでいる。