September, 29, 2022, ふじみ野市--KDDI総合研究所(「KDDI総合研究所」)と京都大学大学院工学研究科の野田進教授、森田遼平 同特定研究員、井上卓也 同助教らの研究グループ(以下「京都大学」)は、フォトニック結晶レーザを用いた高出力自由空間光通信の実証に世界で初めて成功した。
現在、高出力自由空間光通信を行うためには、ファイバアンプなどを用いた大型の送信機が必要となるのに対して、フォトニック結晶レーザは単一の半導体素子のみで同程度の光パワーの出力を実現でき、送信機のシステムを大幅に小型化・簡素化することが可能となる。今後、さらなる研究開発を進め、Beyond 5G/6G時代における宇宙空間での利用を目指す。
研究成果
KDDI総合研究所と京都大学はフォトニック結晶レーザを用いた自由空間光通信の実証に成功した。これまでフォトニック結晶レーザを用いた、レーザー加工や光の測距(LiDAR)は実証されてきたが、通信での実証は世界初。
今回用いたフォトニック結晶レーザは、単一の半導体素子でありながら極めて高い出力光(≥W)を出力することが出来るため、従来のファイバアンプなどの大型装置を用いる必要がない。さらに通常の半導体レーザと比較して、極めて大きな領域で単一モードで発光するため、ビームの拡がり角が0.1°程度以下と極めて小さくなり、外部レンズ系を用いることなく、そのまま空間に発射することが出来る。これら2つの特徴によって、送信機構成の大幅簡素化が可能になる。
実験では64QAM変調された、864MHzの帯域を有するOFDM光信号を、1W級の光パワーでフォトニック結晶レーザから発射させ、1.1メートルの空間伝送に成功した。この結果は、フォトニック結晶レーザを用いた毎秒5ギガビット相当の自由空間光通信の実現の可能性を示すものである。
(詳細は、https://www.kddi-research.jp)