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ガラス表面へのナノ周期構造形成を光で検出

September, 8, 2022, 東京--東京農工大学 大学院工学研究院 先端物理工学部門の宮地悟代准教授と産業技術総合研究所 電子光基礎技術研究部門 先進レーザープロセスグループの奈良崎愛子研究グループ長の研究チームは、同大学院博士前期課程2年生兼同研究所リサーチアシスタントの長井大輔、同研究所の高田英行 主任研究員とともに、フェムト秒レーザ照射中のガラス表面の光学顕微画像から、周期が約200 nmのナノ構造体が形成されていることを判別できる技術を開発した。
 この技術は、モスアイ構造が反射率を抑え、透過率を増加させることを利用し、レーザ照射領域の反射率が減少、透過率が増加したときに、ナノ構造が形成されたことを検出する。この技術により、加工後に表面観察を行わずともナノ構造形成が判別できるため、ナノ構造形成の品質保証だけでなく、観測結果に基づいた動的レーザ制御により、ナノ構造の安定形成も行うことができると期待される。

研究成果
フェムト秒レーザ光を合成石英表面に対物レンズで集光し、合成石英を一方向に一定の速度で動かした。同時に、波長660 nmと850 nmの発光ダイオードをそれぞれ同軸落射、透過照明光源として使用し、レーザ照射表面の波長ごとの顕微画像を2台のCMOSカメラで取得。レーザ未照射領域の顕微画像と比較することにより、レーザ照射領域の相対反射率と相対透過率を求めた。
 加工後の合成石英基板の表面と断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、レーザ加工されていた部分の反射率、透過率と比較。その結果、反射率が減少し、透過率が上昇した領域では、周期が約200 nm、深さが約1µmの直線状のナノ周期構造が形成されていた。
 一方、反射率と透過率ともに減少した領域では表面が深く掘れたのみで、ナノ周期構造は形成されていなかった。以上の結果は、フェムト秒レーザによるナノ周期構造形成を光学的にインプロセスモニタリングできたことを明確に示しており、ナノ構造形成の品質保証への応用が期待される。
(詳細は、https://www.tuat.ac.jp)