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EPFL、脳のように学習できる材料を発見

September, 2, 2022, Lausanne--EPFLの研究者は、エレクトロニクスで使用されている化合物、二酸化バナジウム(VO2)が、以前の外部刺激の全履歴を「想起」できることを発見した。これは、この特性を持つとして特定された初の材料である。ただ、他にもあると考えられる。

EPFL(スイス連邦工科大学)工学部、パワーとワイドバンドギャップエレクトロニクス研究所(POWERlab)、Ph.D学生、Mohammad Samizadeh Nikooは、研究中に二酸化バナジウム: Vanadium Dioxide (VO2)の相転移を偶然発見した。VO2は、室温で緩和すると絶縁相になる。また、68℃で急峻な絶縁から金属への遷移を経験する。つまり、その格子構造が変化するのである。古典的に、VO2は、揮発性メモリを示す。「その物質は、励起を取り除くとすぐに絶縁状態に戻る」とSamizadeh Nikooは、説明している。
同氏の論文では、VO2がある状態から別の状態に遷移する時間を見つけようとした。しかし、同氏は別の経路へ行き着いた。数100の計測の後、その物質の構造に記憶効果を観察した。

予想外の発見
 実験でSamizadeh Nikooは、VO2サンプルに電流を流した。「電流は、その物質を横断し、それが他方へ出るまで経路を辿った」。電流がサンプルを加熱すると、VO2の状態変化を引き起こす。また電流が過ぎ去ると、その材料は、最初の状態へ戻った。Samizadeh Nikooは、次に、その材料に第2の電流パルスを印可した。すると状態変化にかかった時間が、その材料の履歴に直接リンクしていることがわかった。「VO2は、最初の相転移を記憶しており、次を予期しているかのようだった」とPOWERlab所長、Elison Matioli教授は説明している。「われわれは、この種の記憶効果を予期していなかった。また、それは電子状態には全く関係ない。むしろ、その物質の物理的構造に関係している。それは新しい発見である。他の材料は、このように振る舞わない」。

3時間の記憶
研究チームは、さらに進んで、VO2が、ごく最近の外部刺激を3時間まで記憶できることを見いだした。「記憶効果は、実際、数日続くが、われわれは現在、その計測に必要な装置をもっていない」とMatioliは話している。

研究チームの発見は、重要である。観察した記憶効果が、材料自体の固有の特性だからである。エンジニアはあらゆる種類の計算をするために記憶に依存する。また、より大きな容量、スピード、微小化を提供することで計算プロセスを強化する材料は、高需要である。VO2は、これら3つのボックスの全てにチェックを入れる。さらに、その連続的、構造的記憶は、それを従来の物質から差別化している。従来の物質は、電子状態の操作に依存してバイナリ情報としてデータを蓄積する。

研究チームは、研究成果達成のために多くの計測を実施した。また、世界中の他の研究所でその新しい方法を多様な物質に適用することで、チームの成果の確証を行った。この発見は、脳で起こっていることをよく再現している。つまりVO2は、正にニューロンのように行動を切り替える。
(詳細は、https://actu.epfl.ch