September, 1, 2022, Columbus--人の身体のほぼ全ての細胞タイプに存在するが、歴史的に見逃されていた棒状突起が、ついに化学的正当性を獲得しつつある。新しい研究は、脳のニューロンにある繊毛といわれるこれらの付属器官が、特殊なドーパミン受容体の信号が適切に受け取られることの保証に、重要な役割を担っていることを発見した。
研究は、バルテー・ビートル症候群(BBS)という疾患のマウスモデルで行われ、ドーパミンシグナリングを調整する5つのタンパク質の一つ、ドーパミン受容体 1に適用される。脳の一定の領域では、この受容体は、動機づけ行動を始める“on”スイッチと考えることができる、基本的に、目標の追求につながるどんな行動でもよい。
研究から分かったことは、その受容体が繊毛に引っかかったり、これら細胞「アンテナ」を見つける機会がないか、そのいずれかなら、身体に動くように伝えるメッセージが、衰えるということである。
「ドーパミン受容体1には、適切なシグナリングに必要なニューロン繊毛へ達する、あるいは繊毛から得る必要な何かがある。これは、繊毛がドーパミン受容体1シグナリングに重要であることの初めての証明である」とオハイオ州立大学医科、生物化学・薬理学准教授、論文の主筆、Kirk Mykytynは説明している。
論文は、Neuroscienceに発表された。
BBSは、繊毛症と呼ばれるある種の人間の病気の一部である。幅広い範囲の機能不全繊毛によって引き起こされる。また、多臓器不全、成人失明、肥満、知的障害によって特徴付けられる。
その症候群は、体中の繊毛機能不全に関わるが、Mykytynのラボは、BBSの神経成分を研究している。脳における一次繊毛の役割を確定するためである。一次繊毛は、各神経細胞体から突き出た単一の付属器官。それらは、あまり注目されていないが、繊毛機能の中にはよく知られたものもある。臭覚系の一次繊毛によりヒトは、臭覚を得る。また、視細胞外節は、一次繊毛の改変であるが、これによりわれわれが見ることができるようになる。
「これらの付属器官は、人の身体のほぼ全ての細胞タイプに存在し、脳の至る所にある。興味深いことに、われわれは、その役割が何であるかを理解し始めたばかりである」。
Mykytynは、BBSマウスモデルのBBSタンパク質の消去が、特殊タイプの受容体が一次繊毛へ、またからの運動を邪魔することを以前に確認している。関わり合いは、広範囲に及ぶ。これらGタンパク質結合受容体は、グループとして、哺乳類の細胞表面レセプタの最大ファミリであり、薬剤の標的にされる最も一般的なタンパク質ファミリである。
「われわれは、特殊Gタンパク質結合受容体と繊毛との交通妨害の結果が何であるかを研究したかった」
ドーパミン受容体1は、そのような受容体の一つである。
この研究では、研究チームは、マウスを遺伝子操作し、そのドーパミン受容体1-表現ニューロンが、BBSタンパク質欠如になっているか、繊毛を発展させるための機構のいずれかとなるようにした。期待通り、BBSタンパク質欠如により、受容体は、これらのニューロンの繊毛に集積した。また、驚いたことに、マウスは肥満になった。研究チームは、繊毛が欠如したマウス、つまり受容体が、繊毛ですることが何であろうと、それをする機会が得られないマウスは、同じ結果となった。興味深いことに、マウスは過食により肥満になったのではなく、そうではなく、肥満は活動が過度に減ったことに関連していた。マウスは、動くことをせず、太ったのである。制御マウスでは、比較すると、正常に行動し、体重が増えなかった。
Mykytynは、「動き回ることが少なくなり、肥満になる傾向は、ドーパミン受容体1シグナリング減少と一致している。これらのニューロンがある大脳の領域、線条体が動機づけ行動と運動に関与していることが知られている」と指摘しいる。
「BBSの動物が肥満になることは分かっている。また、それは過食によるもののと見られていた。しかし、ここで分かったことは、ドーパミン受容体 1のBBSタンパク質を阻害したとき、マウスは肥満となった。過食が理由ではなく、動機づけ行動が極端に減少したからである。‘go’サインは、あるべき高さではなく、これらのマウスは、あまり動き回らない」。
オハイオ州立大学准教授、論文の共著者Candice Askwithの電気生理学研究所が、これらのニューロンが、その興奮性を維持していると判断した。さらなる証拠として、衰えた受容体シグナリングが、マウスの行動結果を引き起こすような神経回路に明白な損傷を与えない。
「繊毛が、ドーパミン依存神経シグナリングや動機づけ行動を変更する新たなターゲットであるという考えは、非常に素晴らしい」(Askwith)。
バルテー・ビートル症候群(BBS)における肥満の潜在的説明を超えて、研究成果は、脳の一次繊毛がドーパミン作動系内の適切なシグナリングで重要な役割を果たしていることを示唆している。これは、運動制御、動機、報酬や認知機能の調整に役立つ。繊毛と受容体シグナリング間のリンクのさらなる説明は、繊毛症や一部の神経症向けの薬剤開発を促進するものである、とMykytynは話している。
(詳細は、https://news.osu.edu/)