September, 1, 2022, Lausanne--EPFL研究者の新研究は、多機能タンパク質複合物がどのように毒性Tauの形態、アルツハイマー病や他の神経変性疾患に関わるタンパク質の蓄積につながるかを明らかにした。
アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性疾患は、非定型タンパク質に関連している。これは、脳でモツレを形成し、ニューロンを殺す。EPFLの神経生物学者は、今回、これらのモツレ形成の根底にある重要なメカニズムの一部を特定した。
研究チームは、神経変性の初期に細胞の脆弱性を見ることもできた。ニューロンが相互に断絶される時である。チームの研究は、神経変性疾患の新たな治療開発に役立つ可能性がある。
研究のシニアオーサ、Brian McCabeは「最初期のニューロン断絶を止める、あるいは遅くすることができれば、ニューロンが劣化し始める際に起こる後続のステップを減速させられるかも知れない」とコメントしている。同氏は、神経遺伝学・神経病研究所長、EPFLライフサイエンスの教授。
同氏のチームは、ヒトのタウ(Tau)を表現するようにショウジョウバエ(ミバエ)成虫を遺伝子操作した。Tauは、アルツハイマー病や認知症につながる他の疾患に関与するタンパク質。
ヒトのタウを表現するミバエは、研究者によると、制御されたモノよりも寿命が短かった。脳へのヒトのタウの影響を評価するためにチームは、個々のニューロンの正確なイメージングができる一連の遺伝学、顕微鏡とコンピュータ技術を使用した。研究は、その種のものでは初めてであり、大人の脳のコンテクストにおける単一ニューロンレベルで神経変性を見ることができた。
コントロール群と比較すると、ヒトのタウを表現するハエは、大幅にシナプス、つまりニューロン間の接続を失っていた。これらの生き物で、ニューロンの軸索も縮小し、後退した。軸索は、電気インパルスを伝導する細胞の長くて細い部分。
「軸索が縮小するまでにニューロンは、もはや機能回路の一部ではなくなっている。われわれは、これらの極めて早期の段階で介入する必要がある。ニューロンが死んでいくと闘いはすでに終わっているからだ」(McCabe)。
さらなる実験が、レトロマー(retromer)というタンパク質複合体の損失が神経変性を加速することを示した。レトロマーは、パーキンソン病の人々で突然変異する。その細胞では、レトロマーはリサイクリングシステムのように機能し、タンパク質の破壊を救済し、それらを細胞表面に戻す。レトロマー複合体の活動を阻止すると、神経を悪化させる、短くなったタウの形態のレベルが増加したことを研究者は確認した。
McCabeとチームは、レトロマー活性が低下するとタウタンパク質は、細胞内に長くとどまり、そこで特殊な酵素、カスパーゼによって、「刈り込まれ」る。実に、短くなったタウの形態の生成を抑制すると、シナプスや軸索の損失を引き止めることができる。
Nature Communicationsに発表された研究は、レトロマー活性の抑制がタウの交通を低速にすることを示唆している。この「交通マヒ」により、カスパーゼがニューロンに損傷を与えるタウを短い形態に切断する。タウの交通を増強する薬剤の特定は、神経毒性低減に役立つ可能性がある、とMcCabeは見ている。
タウの短くされた形態が、アルツハイマー病やパーキンソン病に影響された脳の診断マーカーであるなら、この非典型タンパク質のレベルを使って、薬効の代理として薬剤スクリーニングができる。
McCabeのチームは、神経変性の初期段階の理解に向けた研究を継続している。病気を始動する重要なメカニズに光を当てるのに役立つアプローチである。
(詳細は、https://actu.epfl.ch)