August, 30, 2022, つくば/大阪--産総研、大阪大学の共同研究グループは、肝細胞(肝実質細胞)で発現する薬物代謝酵素(CYP)の酵素活性が、酸化型CYPの分子数と相関しているため、この酵素群の分子をラマン散乱により検出すると、CYPの酵素活性を推定できることを発見した。
この知見に基づき、ラマン散乱顕微鏡を用いて、生きた無標識の細胞を破壊することなく、光を当てるだけで、CYPの酵素活性の細胞内分布を可視化することに成功した。また、他の生体分子のラマン散乱を同時に検出することにより、薬物に対する細胞応答を多角的に解析できることを示した。この技術は、創薬開発における肝臓の薬物応答試験や再生医療で用いる肝細胞製品の品質評価への応用が期待される。
この技術の詳細は、2022年8月22日(英国夏時間)に「Communications Biology」に掲載された。
研究チーム
産業技術総合研究所(産総研)先端フォトニクス・バイオセンシングオープンイノベーションラボラトリ 李梦露特別研究員(現:大阪大学大学院工学研究科 特任助教(常勤))、名和靖矩特別研究員(現:関西学院大学 専任講師)、藤田聡史 副ラボ長らと、大阪大学大学院工学研究科 藤田克昌教授ら
(詳細は、https://www.aist.go.jp)