August, 29, 2022, Chicago--ノースカロライナの山中では、地滑りはただ事ではない。大雨をきっかけに山腹の土壌が飽和し、「バラバラ」になりうる。結果、小さな地滑りとして始まったが、すぐに巨大な土石流になり、木々を根こそぎにし、巨礫を押しのけ、30mphのスピードで、流れ落ちる過程で、その通り道のあらゆるものを洗い流す。コストは、インフラストラクチャと人命の両方で、壊滅的である。
地滑りと土石流は、同じではない。それらが、土、岩くず、岩を押し流す点では、いずれも「斜面崩壊事象」を想定している。しかし、それらは含水量と移動メカニズムで違う。地滑りは、雪の斜面を滑り落ちるように動き、それに対して土石流は、もっと多くの水を含んでおり、荒れ狂う渓流のように流れる、しかし、さらに強力である。
これらの斜面崩壊事象の予測不可能性を仮定すると、それらが起こりそうなところを把握することは、価値のあるプロジェクトと考えられる。地質学者Karl Wegmann、前NC State Ph.D学生、Corey ScheipとLiDARが、プロジェクトに参加した。
LiDARは、地質学者が、地球表面を光パルスで正確な3D画像を作成するための測定装置。
Scheip とWegmannは、2018年、Blue Ridge MountainsのAsheville南の地滑りを調べていた。3時間で6インチまでの雨を降せた嵐は、そのエリアで240の個別地滑り、土石流となった。
「幸運なことに、ノースカロライナ州全体は、高分解能LiDARトポグラフィデータで測量したデータがある。われわれは、そのイベントの前後のLiDARデータを持っているので、何がどのようにズレたかを計算することができた」(Wegmann)。
従来、地質学者が、あるエリアが地滑りの影響を受けやすいかどうかを推定するとき、事件の後に土石流の量を調べ、それがどこで始まったかを見つけ出そうとする。
しかしLiDARデータによりScheip と Wegmannは、土石流の上のエリアから水がどのように流れ落ちるかを見ることができた。次に、一定のエリアで嵐からどの程度の水を受け、次にそのエリアで地滑りが起こりそうであるかを計算した。
「原則的に、われわれは寄与する排水面積を計算した。土石流の景観をメートル毎に見て、水が集まりそうなところを推定すると、どこで地滑りの引き金となる水が一杯になるかを計算できる。また、水が水路へ向けられると、高速で破壊的な土石流へ移転する可能性は非常に高い」とWegmannは話している。
研究チームは、LiDARを使って、土石流の経路に沿って物質の輸送速度を見た。つまり、どの程度の「物質」が最初から動き始めて、土石流の最後に至るかである。チームは、浸食は堆積と同じでないことを確認した、これは驚きである。
「完全な世界では、土石流が始まり、経路を流れ落ち、全てが、その底にたまる。だから理論的には、斜面を浸食した同じ量が底に堆積する。しかし、底に堆積した物質は約70%に過ぎないことを確認した。つまり、30%は川に流れ、システムから洗い流された」。
どの程度の物質が実際に下方へ移動するかを知ることは、土石流の振る舞いをモデリング、予測するのに重要である。それらがいかに速く新しい物質を拾い上げ、どの程度大きくなり、どこまで移動するかなどだ。この情報により地質学者は、つきる可能性、あるいは堆積ゾーンを予測できる。
Wegmannによると、ほとんどの家は谷の麓に建っている。「このデータにより、建築家や計画者は地形を見て、危険の少ない場所に建築を決めることができるようになる」と話している。
研究成果は、Landslides誌に発表された。
(詳細は、https://news.ncsu.edu)