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Fraunhofer IAF、世界初、磁場依存誘導放出の計測

August, 2, 2022, Freiburg--Fraunhofer Institute for Applied Solid State Physics (Fraunhofer IAF)は、最小磁場さえも計測する、新しいアプローチに取り組んでいる。ダイヤモンドベースのレーザ閾値磁気測定法である。
 その発想は、レーザシステムで高密度窒素空孔中心(NV中心)をもつダイヤモンドを使うことである。今回、研究チームはマイルストーン達成に成功した。チームは、世界初の磁場依存誘導放出の計測を実証することができた。さらに新しいコントラスト記録さえも実証した。こうしてチームは、レーザ閾値磁気計測の原理を初めて実証した。研究成果は、Science Advancesに発表された。

医療診断では、高感度センサを使って、例えば、身体の心臓や脳活動の弱い磁場(MCG, MEG)を計測し、身体の画像を作る必要がある。磁気共鳴イメージング(MRI)を使うと、初期の病気を検出できる。

しかし、必要な精度を達成するするのはほんのわずかな高感度磁場センサだけである。その各々が、臨床応用には大きな技術的障壁を持つ。SQUIDセンサは、複雑な極低温冷却、-270℃を必要とする。蒸気セル磁気測定(OPMs)は、もう1つのオプションである。これらは、極低温冷却なしでも最高感度を達成するが、欠点は、全ての背景磁場の完全遮蔽を必要とすること、これには地球の磁場も含まれる。したがって、部屋および建物で膨大な構造的要件設置となる。このため、より不正確な電気測定(ECG, EEG)が、今日の臨床実行では引き続き一般的である。

Fraunhofer IAFでは、プロジェクトチームが、すでに、より適切な代替法を研究している。「われわれの目標は、室温で機能し、背景磁場があっても動作する非常に高感度な磁場センサの開発である。また、臨床実装に役立つものだ」とプロジェクトマネージャ、Dr. Jan Jeskeは話している。

ダイヤモンドとレーザで最小磁場を測定
 プロジェクト「超高感度レーザ閾値磁気測定法向けNVドープCVDダイヤモンド“DiLaMag”」は、ドイツ連邦教育・研究省から助成を受け、Jeskeと同氏のチームが、高感度量子磁場センサのための世界的にユニークなアプローチを研究している。チームは、初めて、レーザシステムでダイヤモンドを利用し、著しく高精度な磁場計測を可能にしている。

そのプロジェクトのためにダイヤモンドは、高密度NV中心でドープされている。「その材料特性により、高密度NV中心を持つダイヤモンドは、レーザ媒体として用いられると、計測精度を著しく高めることができる」(Jeske)。ダイヤモンドのNV中心は、窒素原子と炭素欠陥で構成される原子系である。それらは緑の光を吸収し、赤い光を放出する。これらの原子的に小さなNV中心の傾向は、外部磁場の力に依存するので、それらを使って、高い局所的分解能と優れた感度で磁場を計測できる。

レーザ閾値磁気測定の初の実験実証
 数年の研究努力の後、Jeskeのチームは重要なマイルストーンに達した。それは、世界初の磁場依存誘導放出の計測の実証。そのプロセスで研究チームは、興味深い発見をした。「われわれは、NVダイヤモンドで、極めて関連が深いが以前は見過ごされていた物理的プロセスを観察した。緑色レーザ照射による赤色光の吸収である」(Jeske)。

レーザ媒体としてUVダイヤモンドを使い、チームは、誘導放出により信号パワーの64%増幅を達成しただけではない。プロジェクトチームは、世界記録さえも達成することができた。磁場依存放出は、33%のコントラストとmW領域で最大出力を示している。これは、NVアンサンブルによる磁気測定における新たなコントラスト記録である。

誘導放出がこれに関与する。「われわれは、この記録が、自然放出では可能でないことを示すことができた。したがって、レーザ閾値磁気測定法の理論的原理を初めて実験的に実賞した」とJeskeは強調している。

NVダイヤモンド製造で大きな進歩
 レーザ閾値磁気測定概念は、優れた光学特性を維持しながら、ダイヤモンドが極めて高いNV中心密度の場合にのみ機能する。この理由のためにプロジェクトチームは、それに応じてダイヤモンドを最適化する広範な材料研究を行った。これに含まれるのは、一方で、CVD(化学気相蒸着)によるダイヤモンドの製造、他方で、電子照射による後加工、NV密度増加のための温度処置。

CVDによるダイヤモンド成長、これはNV中心の精密な制御統合が可能にするが、その間、研究チームは、高い窒素ドーピングをすでに達成することができた。電子照射を使いチームは、次に窒素密度の適切なフルエンスを確定した。これによりNV密度で20~70倍増となった。吸収スペクトルによりそれらはNV中心ライブ形成に続くことができた。評価中、チームは適切なNVアンサンブルの3つの重要要素間の相関を確立した。高NV密度、高フルエンス放射を使った置換窒素の高変換効率、それに高い電荷安定性である。

これらの詳細な研究の結果、Fraunhofer IAFのチームは、高密度NV中心のCVDダイヤモンドの高品質製造に初めて成功した。したがって極小磁場計測のためのダイヤモンドレーザ閾値磁気測定の開発の必須条件を実現したのである。
(詳細は、https://www.iaf.fraunhofer.de)