Science/Research 詳細

高品質な二次元半導体の接合構造を利用した発光デバイスを実現

August, 1, 2022, 東京--東京都立大学、名古屋大学の研究チームは、次世代の半導体材料として注目されている遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)において、異なる二種類の半導体TMDCが接合した構造(半導体ヘテロ構造を利用した発光デバイスの作製に成功した。
 このようなデバイス構造を利用することで、薄膜における発光位置の制御や接合構造の結晶性の評価、および電流を利用した室温での円偏光の生成などが可能になった。今後、次世代の光源や非常に小さな電力で動く電子デバイスやセンサ、エネルギー変換素子などへの応用が期待される。

研究の意義と波及効果
 この研究の意義は、次世代の半導体材料として期待されているTMDCの高品質な接合を作製し、その発光デバイスとしての性質・機能を明らかにした点にある。特に、4種類の異なるTMDC(MoS2, MoSe2, WS2, WSe2)を組み合わせた計6種類の接合構造の全てで電流を利用した発光デバイスを実現できた点は、この材料系のデバイス応用に向けた重要な指針になると期待される。また、接合界面での歪み効果による室温での円偏光生成に関する基礎的な知見は、TMDCを利用した将来の光量子通信等の光源としての展開が期待できる。

 研究成果は、7月8日付けでドイツの科学雑誌「Advanced Functional Materials」オンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.tmu.ac.jp)

研究グループ
東京都立大学理学研究科物理学専攻の和田尚樹(研究当時:大学院生)、高口裕平(研究当時:大学院生)、遠藤尚彦(研究員)、宮田耕充准教授、名古屋大学工学研究科応用物理学専攻の蒲江助教、竹延大志教授、京都大学エネルギー理工学研究所のWenjin Zhang博士、松田一成教授、宮内雄平教授、産業技術総合研究所・極限機能材料研究部門の劉崢上級主任研究員、産業技術総合研究所・デバイス技術研究部門の入沢寿史