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レーザビームを柔軟に成形し、OCTイメージングの焦点深度拡大

July, 29, 2022, Stanford--スタンフォード大学医学部の研究者は、様々なニードル形状レーザビームを柔軟に作る新方法を開発した。これらの長く、狭いビームを使ってOCTを改善でき、革新的で多用途のイメージングツールが実現する。これは、科学研究や様々なタイプの臨床診断に利用される。

「ニードル形状レーザビームは、OCTシステムの焦点深度を効果的に拡大でき、横方向の分解能、SNR、コントラスト画像品質を長い深度範囲にわたって改善する」とスタンフォード大学医学部、研究チームリーダー、Adam de la Zerdaは、説明している。「しかし、これまでは、特殊ニードル形状ビームの実装は難しかった。一般的な、フレキシブルな生成法がなかったからである」。

Opticaで研究チームは、様々な長さと径のニードル形状ビームを造る新しいプラットフォームを説明している。それを使って様々なタイプのビームを作ることができる。極めて長い被写界深度のもの、あるいは光の回折限界よりも小さなものなど。

この方法で生成されたニードル形状ビームは、様々なOCTアプリケーションに有用である。例えば、長い、狭ビームにより動的合焦なしで網膜の高分解能OCTイメージングが可能になり、プロセスが校則になり、患者にとって苦痛が少なくなる。また、OCT内視鏡の焦点深度を拡大し、診断精度改善となる。

「ニードル形状ビームの迅速、高分解能イメージング能力は、画像取得中にヒトが動くことによって生ずる悪影響もなくすることができる。これは、メラノーマや他の皮膚の問題をOCTを使って正確に示す際に役立つ」と論文の筆頭著者、Jingjing Zhaoは、コメントしている。

フレキシブルソリューション
非侵襲的イメージングツールとしてOCTの特徴は、イメージング深度に沿って不変の軸方向の分解能である。しかし、その軸方向の分解能は、光源によって決まるので、焦点深度は極めて小さい。この問題に対処するためにOCT装置は、深さに沿って焦点を動かすことができるように作られることが多い。関心のある全領域の鮮明な画像を撮るためである。しかし、この動的合焦によってイメージング速度が遅くなり、サンプルが静的でないようなアプリケーションではうまく機能しない。

OCTは一般に、単一の短い焦点深度で1つの焦点を生成する対物レンズを使用する。焦点深度を増すために研究チームは、位相マスクとして知られる回折光学素子を使用した。これは、軸方向に沿って多くの焦点で様々な光パタンを作るためにマイクロ構造を利用している。チームは、ランダムに分布し、元の焦点とは異なる新しい焦点を生成する特別にパタン化されたピクセル群をもつ位相マスクを設計した。次に軸方向に間隔が密な焦点を生成するために、位相マスク全体を利用することができ、長い焦点深度のニードル形状ビームを形成する。

「柔軟性は、この新しいアプローチの主な利点である。焦点の位置、すべての隣接焦点間の位相差を修正することでビーム長とその径の両方が柔軟かつ正確に変えられる」(Zhao)。この柔軟性は、研究チームが開発した計算モデルにより可能になっている。これは、ビーム特性と多数の焦点の設計パラメタの間の関係を正確な定量的な方法で明らかにするために開発された。チームは、そのモデルの計算に基づいて回折光学素子を造るハイパフォーマンス製造手順も開発した。

適切なビームの選択
そのモデルをテストするために研究チームは、複数の異なるサンプルタイプのイメージングに適したビーム形状を作成した。例えば、ヒトの表皮の全体層の個々の細胞をイメージングするためにチームは、径2µm(細胞分解能)以下、長さが少なくとも80µm(表皮の厚さ)のニードル形状ビームを作成した。チームは、生きたショウジョウバエ幼虫の鼓動する心臓の高分解能の動的画像を撮ることもできた。ショウジョウバエは、心臓病モデル生物である。これは、長い深さ範囲で臓器構造を可視化するために700µm長、8µm径のビームを必要とする。

研究チームは現在、ニードル形状ビームを作るために利用されている回折光学素子と対物レンズをモデルに基づいた単一のフラットメタレンズで置き換えることでそのアプローチを改善するこに取り組んでいる。例えば、このメタレンズをマウスの頭蓋の上に設置して、マウスの脳内部のニューロンのダイナミクスを観察することが可能になる。

新しい研究は、OCT改善を超えたアプリケーションも見つけられる。「ニードル形状ビームを使って、全ての顕微鏡システムの分解能を改善できる。光ピンセットで粒子を操作すること、材料加工、共焦点顕微鏡、マルチフォトン顕微鏡、フォトリソグラフィや光音響トモグラフィが含まれる。われわれのモデルは、テラヘルツイメージング用の電磁波、超音波イメージングに使用される力学的な波にも適用できる」とZhaoは話している。