July, 25, 2022, 徳島/大阪--徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所 加藤遼特任助教、矢野隆章教授、及び大阪大学大学院工学研究科 森山季(大学院生(当時))、馬越貴之講師、Prabhat Verma教授らの研究グループは、従来法に比べ12倍以上長い時間の測定が可能な超解像ラマンイメージング顕微鏡を開発した。
超解像ラマン顕微鏡(TERS)は、分子の種類や状態を1分子レベルで同定できるため、様々な分野への応用が期待されているが、従来のTERS顕微鏡は、顕微鏡のドリフトの影響により測定時間が30分程度に制限されるため、観察可能な物質や測定範囲が限られていた。
今回、共同研究グループは、TERS顕微鏡のドリフトの影響をリアルタイムで補正する機構を新たに開発することで、従来法と比べて12倍以上長く安定した超解像ラマンイメージングを達成した。この長時間超解像ラマンイメージングにより、電子デバイスへの応用が期待される新材料の二硫化タングステン(WS2)が有するナノメートルサイズの欠陥構造の同定や欠陥占有率の評価を、実際の電子デバイスと同規模の大面積(4,000,000 nm2以上)で実施することに成功した。この手法は、トランジスタをはじめとする様々な電子デバイスに応用される材料の欠陥評価や、長い測定時間を要するためこれまで困難であったタンパク質などの生体分子の観察に応用できると期待される。
研究成果は、 2022年7月15日14時(米国東部標準時)公開の Science Advances 誌に掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)