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マックスプランク量子オプティクス研究所、光ラセンを撮像

July, 21, 2022, Munich--新開発の”nanoTIPTOE”技術で、マックスプランク量子オプティクス(MPQ)、ルートヴィッヒマクシミリアン大学(LMUミュンヒェンの研究者は、スタンフォード大学と協力して、最短時間、長さスケールでラセン光場(light field)を記録することができた。

19世紀末以来、光は電磁波であることが知られている。その周波数が光の色を決める。光は、1秒に約1000兆の振動で高速に振動しており、21世紀の初めになって初めて光場の時間的進化を直接計測する方法が開発された。それ以来、ますます多くの光の秘密が明らかになった。今回、アト秒チームのDr. Boris Bergues とMatthias Kling教授をリーダーとする超高速エレクトロニクスとナノフォトニクスグループの研究者は、新しい技術、“nanoTIPTOE”をかいはつした。これにより、時間と空間で超短レーザパルスの電界の計測が可能になる。すなわち、これまでには達成されていない空間および時間分解能で光波の「写真」を撮ることができる。

光の振動は信じられないほど速い。われわれの現在のエレクトロニクス技術の振動範囲は、光の振動にさえ近づけない。最新のコンピュータは、シングルでじっとGHz領域で機能する。これは、光振動よりも100万倍程度遅い。われわれのコンピュータを光で操作できると、コンピュータは何倍も高速になる。この方向の第一ステップは、光を正確に走査、制御する方法を習得することである。計測はレーザ焦点の内側で起こらなければならない、焦点サイズよりも遥かに小さなボリューム内で起こらなければならないので、高い空間分解能と組み合わせた高精度時間計測が必要になる。これは物理学者に新たな課題を課す。われわれが光を一点に集束する時、分解能は焦点サイズのオーダーになる。光は回折するので、理論的に達成できる分解能は、波長サイズ程度に制限される、つまり数100nmである。しかし、一般的なアプリケーションでは、この制約は達成が困難であり、焦点サイズは、数µm範囲になることがおおい。したがって、焦点サイズよりも小さなスケールの効果は、集束光だけでは調べることができない。

アト秒チームのDr. Boris Bergues とMatthias Kling教授をリーダーとする物理学者は、この問題をうまく回避した。計測のために、チームは、光の焦点よりも遙かに小さな微小な金属ナノチップを使用した。これの利点により、原理的に避雷針と同じチップ先端でのフィールド増強により計測を微小なチップ端に閉じ込めることができる。チップ材料の伝導性が今度は、最先端の電子計測法の利用を可能にするので、その技術は扱いやすくなり、同時に精密になる。チップそのものは、数ナノサイズに過ぎず、空間の一点でフィールドプローブに使える。光場(light field)の画像全体を撮るために、チップは焦点全体でスキャンされる。各チップの位置は、画像の1ピクセルに対応している。加えて、物理学者は、各ピクセルでフィールドの時間的発展を同時計測できる。

光が針の先端に当たると、短い電流パルスが生成される。電流は、その先端を数100アト秒(as)で流れる。特性評価されるレーザフィールドは、続いて計測される誘導電流を変調する。極短時間インタバル内のこれら電流の変化で、研究チームは、光場観察に必要な時間分解を達成する。

“nanoTIPTOE”と言うその技術により研究チームは、光場測定に新たなアプローチを導入した。最初のアプリケーションとして、超高速エレクトロニクス&ナノフォトニクスグループのDr. Johannes Schötzは、国際研究者と共に、光渦ビームフィールドを計測した。これは、レーザフィールド特殊構造化タイプであり、光ラセンと類似的。ビームの光周波数は、従来のエレクトロニクスで達成可能なものよりも何桁も高い。

達成された空間分解により、レーザビーム焦点の光渦の空間および時間場分布の再建、および伝播軸周りに回転するフェムト秒渦パルスのフィールド振幅を観察することが可能になった。

Johannes Blöchlは、「現在の計測をベースにしたわれわれの新しい方法で、空間分解分光法で新たな品質を達成し、したがって、フィールド分解走査型顕微鏡のアプリケーションを後押しできる」と説明している。

(詳細は、https://www.mpq.mpg.de)