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集積フォトニクスの直接レーザ溶接によりファイバとチップ接続

July, 21, 2022, Berlin--光ファイバとPICsのアセンブリ、接続戦略は、通常は接着剤で実現される。しかし、この接続技術は、長期的には光学的劣化、高い光伝送損失となり得る。これは、医療技術やライフサイエンスなどの重要アプリケーションでは致命的である。
 Eurostarsプロジェクト”PICWeld”の一貫としてFraunhofer IZMの研究者は、LioniX International BV, Phix Photonics AssemblyおよびficonTEC Service GmbHと協力して、ガラスファイバとPICsの固定に、接着剤フリー、省スペース、ロボットレーザ溶接プロセスを開発した。同システムの産業成熟は、そのプロセスを自動調整システムに組み込むことで実証された。これは、ガラス-ガラス接続技術を商用利用に非常に魅力的にしている。

臓器の機能から温度調整、ホルモン生成までバイオメディカルプロセスは、光に強く影響される。一方で、光と身体の研究は著しく進歩し、ライフサイエンスやバイオフォトニクスなどの若い分野は、自然科学と医療の交点にある問題に取り組んでいる。高精度で複雑な計測により、光と物質の相互作用がどのように起こるかについての情報が得られる。例えば、ガンに関わる細胞や組織の構造を調べる場合である。

しかし、内部の仕組みを垣間見ることは容易ではない。最近、高安定ファイバ接続を備えたPICsベースの微小システムが提案されている。生体プロセスにおける可視光の役割を理解するためである。これは正にFraunhofer IZMがBMBF助成Eurostarsプロジェクト”PICWeld”に参入したところであり、光ファイバを石英ガラス上でPICsに直接溶接できる全く新しいタイプのレーザ溶接を開発した。パートナーficonTEC Service GmbHと協力して、このプロセスは高い生産性と拡張性を備えた自動システムに実装された。

Dr. Alethea Vanessa Zamora Gómezの研究チームは、ガラス-ガラス接続を簡素に、より堅牢、耐久性よくしようとした。そのような接続は、すでにオプティクスのスペシャリスト界では利用されているが、従来のソリューションは大きな欠点がある。個別の光コンポーネントは、通常、接着剤で接続する。接着剤の柔らかさのためにコンポーネントの位置は時間経過と共に変化し、2つのガラス層の間に欠陥が生ずる。つまり信号減衰、接着剤の経年にともない脆くなる。長期安定性が、重要なことがよくある。接続技術のこれらの欠点を回避するために研究チームは、CO2レーザ溶接を開発し、これがダイレクト接続を実現している。

信頼度の高い石英ガラス接続の実験的レーザ溶接を行うと共に、それを産業化と高スケーラビリティとし、完全な新しい自動プロセスを開発、作製した。

結果としてのシステムは、接着剤フリー、偏光維持インタフェース、導波路を集積した光石英ガラスファイバと石英ガラスPICsの間の高効率結合を可能にする。しかし、研究チームは、利用に適する接続を実装する前に数々の技術課題を克服しなければならなかった。ガラスファイバと基板は、体積が違うので、2つの接合部分の熱容量も同じではない。この不一致は、非常に異なる加熱と冷却動作となり、これは、例えば冷却中の変形、亀裂につながりうる。フォトニクス専門家のソリューションは、別の個別に調整可能なレーザを使い基板を均一に予熱することだった。

 1300℃までの熱プロセスモニタリング、1µm精度の位置決めシステム、画像認識プロセスと制御ソフトウエアを備えたシステムは、機能性をテストし、初のプロセス指向計測を実施するために、プロジェクト中に初の溶接接続を行った。
「CO2レーザ溶接用のわれわれのシステムで、われわれは以前のプロセス原理を拡張した。特に、高い自動能力により顧客は、最高結合効率を持つPICsを使うことができる。産業に組み込むことで、これはバイオフォトニクスのアプリケーション領域にとって飛躍を意味するが、量子通信や高性能フォトニクスでも同様である」とFraunhofer IZMのDr. Alethea Vanessa Zamora Gomezはコメントしている。
(詳細は、https://www.izm.fraunhofer.de)