July, 19, 2022, Augsburg--ケンブリッジ大学のCavendish Laboratory とUniversities of Augsburg (ドイツ)、Lancasterの研究チームは、2D導電システムにTHzディテクタの性能改善を約束する新たな効果を発見した。
ケンブリッジ大学Cavendish Laboratory半導体物理学グループの研究者は、イタリアピサおよびトリノの研究者と共に、2002年にテラヘルツ周波数でレーザ動作、QCLの動作を実証した初の研究者である。それ以来グループは、THz物理学と技術の研究を継続し、現在、変調器を形成するためのメタマテリアルを組み込んだ機能THzデバイス、新しいタイプのディテクタの研究を行っている。
使えるデバイスの欠如が解決されるとテラヘルツ放射には多くの有用なアプリケーションがある。セキュリティ、材料科学、通信、医療などである。例えば、THz波により肉眼では見えないようなガン組織のイメージングが可能になる。新しい世代の安全、高速空港スキャナにも使える。これにより違法ドラッグや爆発物と医薬品の区別ができる。また、最先端を超える一段と高速のワイヤレス通信を可能にする。
Trinity College CambridgeのDr Wladislaw Michailow(Junior Research Fellow)によると、現在、新しいタイプのTHzディテクタを開発しているが、「そのパフォーマンスを計測すると、理論的に見込めるよりも遙かに強い信号を示すことが分かった。つまり、新たなの説明を考えついた」とコメントしている。
この説明は、光が物質と相互作用する仕方に依存する。高周波では、物質は、単一粒子の形で光、フォトンを吸収する。最初にアインシュタインが提案したこの解釈は、量子力学の基盤を形成し、光電効果を説明することができた。この量子光励起は、われわれのスマートフォンでは光がカメラによって検出される仕方であり、ソーラセルでは光からの電気の生成である。
周知の光電効果は、導電材料、金属あるいは半導体から、入力フォトンによる電子の放出からなる。3次元の場合、電子はUVあるいはX線領域でフォトンによって真空に排出可能である、あるいは中赤外から可視域の誘電体に放出される。新規性は、テラヘルツ域における量子光励起プロセスの発見にある、光電効果と類似である。「そのような効果が高導電性、2次元電子ガス内に極めて低周波で存在することは、これまで分かっていなかった」と研究の筆頭著者、Wladislawは言う。「しかしわれわれはこれを実験的に証明することができた」。その効果の数量化理論は、アウグスブルク大学のチームが開発した。研究成果は、Science Advancesに発表された。
研究チームは、その現象を結果的に「面内光電効果」と呼んでいる。対応する論文でチームは、この効果をテラヘルツ検出に利用するいくつかの利点を説明している。特に、「面内光電効果」によって生成される入力THz放射の光応答の大きさは、これまでにTHz光応答を引き起こすことで知られていた他のメカニズムで見込めるよりも遙かに高い。したがって研究チームは、この効果が、非常に高い感度を備えたTHzディテクタの製造を可能にすると期待している。
David Ritchieは、「これによりわれわれは、THz技術を実世界での有用性に一歩近づける」と結論づけている。
(詳細は、https://www.phy.cam.ac.uk/)