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量子計算機のハードウェアとアルゴリズムのエラー抑制手法開発

July, 12, 2022, 東京--東京大学、NTT、AIST、大阪大学の研究グループは、量子計算機による量子多体計算アルゴリズムに伴う起源不明のエラーを効率的に除去する手法を開発した。

量子計算機とは、量子的な状態(量子状態)の重ね合わせおよびその干渉によって、計算を実行する装置の総称。量子計算機を用いて演算を精密に実行するためには、多くの技術的障害を乗り越える必要がある。中でも、最も大きな課題として挙げられるのが、外部環境との相互作用やハードウェアの不完全性などによって生ずる、エラー(誤り)の抑制。量子ビット(qubit)などのリソースが限られたデバイスにおいても威力を発揮する効率的な計算手法の研究が進められているが、実用的な観点からはいまだ発展途上の段階にあるのが現状といえる。

研究グループは、起源不明のノイズの影響を受けた量子状態を複数個並列に準備した上で干渉させれば、ハードウェアにおけるノイズの影響とアルゴリズム自体に内在する誤差のいずれも抑制できることを発見し、ハードウェアへの負担を最小限に抑えて計算エラーが抑制できる新たなフレームワークを構築した。この手法は、演算精度が比較的低い量子ビットを多数備えている量子計算機において、大きな威力を発揮するものと期待される。

研究成果は、2022年7月6日(米国東部夏時間)に米国科学雑誌『Physical Review Letters』のオンライン版に掲載された。

研究グループ
東京大学大学院工学系研究科の吉岡信行 助教、NTTコンピュータ&データサイエンス研究所の徳永裕己 特別研究員、鈴木泰成 研究員、遠藤傑 研究員、産業技術総合研究所の松崎雄一郎 主任研究員、大阪大学量子情報・量子生命研究センターの箱嶋秀昭 特任助教(常勤)
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)