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超高速レーザで次世代ソーラセルをプローブ

June, 30, 2022, London--光を電気に変換する最初の瞬間のプローブは、研究者による新しいソーラセル改善、一層のエネルギー効率向上に役立てることができるようになる。

インペリアルカレッジロンドン(ICL)の研究者が開発した方法は、超高速レーザとX線を使い、反応を誘発し、それがわずかフェムト秒で引き起こした変化を計測する。

今回、ICL研究チームは、有機光起電(OPV)材料の研究のためにその技術を利用した。OPV材料は、エネルギー生成、水分解のために太陽光線を収集する。

OPV材料は、安価な再生可能エネルギーを提供できるので、徹底的に研究されている。しかし、現在利用されている材料の多くは、不安定、非効率である。これは、光で励起される電子の複雑な相互作用によるものである。

高速の時間分解と原子に局所化された計測の組合せ、Nature Communicationsに発表されているように、これらの電子の高速相互作用の綿密な研究は、ソーラセルや触媒を改善するための方法に貴重な洞察を提供している。

より効率的なデバイス
インペリアルの物理学部、Jon Marangos教授は、「OPVsは、シリコンベースのPVに対する安価でフレキシブルな代替である。したがって、将来の太陽エネルギー生成インフラストラクチャでの利用に魅力的な見通しを示している」
「この研究は、われわれの新しい時間分解X線技術の力を実証している。それは現在、幅広い範囲の材料に適用されており、より効率的なOPVデバイス実現に必要とされる理解を提供する可能性がある」とコメントしている。

チームは、太陽エネルギー変換の第1段階、光が当たることによって材料に起こる反応をプローブした。まず、反応を励起するために材料に15fs続くレーザパルスを照射した。これに続いて、わずかアト秒(as)続くエック線パルスを照射、これが材料における結果としての変化を計測した。

素早く発展する状態
チームは、電子がポジションから叩き出されたとき、初めて、材料の初期状態のX線シグネチャを直接観察した。これが、材料を動くことができる電子と「ホール」ペアを作る。

この初期状態は、わずか50fsで急速に新しい、より安定した状態へ発展した。ニューキャスル(Newcastle University)大学Tom Penfold教授による計算は、観察とよく合致し、初期状態が材料の分子チェーン間の距離に依存していることを示している。

インペリアル化学学部、Dr Artem Bakulinは、「光による励起で直接起こる最初の電子ダイナミクスに対する時間分解X線法の感度が、幅広い範囲の有機オプトエレクトロニック材料や他の材料の光物理学への新たな洞察に道を開く」とコメントしている。

チームは、他の有機半導体材料で超高速電荷ダイナミクスを研究する計画である。これには最近発見された材料、様々な分子を電子受容体として利用するものが含まれ、これは、強化されたOPV効率を示している。

(詳細は、https://www.imperial.ac.uk)