June, 24, 2022, San Francisco--光導波路のディープニューラルネットワークを使って、ペンシルバニア大学(Penn)のエンジニアが開発した1cm²以下の新しいチップは、ナノ秒で画像を検出し分類できる。独立したプロセッサ、メモリユニットは全く不要である。
ヒトの脳からヒントを得た多くのAIシステムが、人工ニューラルネットワークベースに実装されている。ここでは、電気的に生体ニューロン相当するものが相互接続し、画像など一連の既知のデータでトレーニングされ、次に新しいデータポイントを認識、あるいは分類するために使われる。
画像認識に使われる従来のニューラルネットワークでは、標的物体の画像が、まず画像センサ上に形成される。例えば、スマートフォンのデジタルカメラである。次に、その画像センサが光を電気信号に変換し、最終的にバイナリーデータに変換される。データは、コンピュータチップを使って、次に処理、分析、蓄積、分類される。これらの機能をスピードアップすることが、どんなアプリケーションでも改善の決め手になる。顔認証、写真のテクストの自動検出、自動運転車の障害認識支援など。
現在、デジタルチップ上のコンシューマグレード分類技術は、1秒に数10億の計算を実行でき、ほとんどのアプリケーションには十分である。それに対して、動いている物体の特定、3D物体特定、あるいは体内の微小細胞の分類など高度な画像分類は、最も強力な技術でさえ、その計算限界を押し広げようとしている。これらの技術の現在のスピード限界は、コンピュータプロセッサにおける計算ステップのクロックベーススケジュールで設定されている。ここでは計算は、リニアスケジュールで次々に起こる。
この限界に対処するためにペンシルバニアのエンジニアは、画像をほぼ瞬時に分類、認識する初のスケーラブルなチップを作製した。電気・システム工学准教授、Firooz Aflatouniは、ボスドクフェローFarshid Ashtianiおよび院生Alexander J. Geersとともに、従来のコンピュータチップから4つの主要な時間を消費する原因を除去した。光から電気信号への変換、入力データをバイナリフォーマットへ変換する必要性、大きなメモリモジュール、クロックベースの計算。
研究チームは、関心のある物体からの受けた光を直接処理することでこれを達成した。これには、9.3mm²チップに実装した光ディープニューラルネットワークを使った。
Natureに発表された研究は、チップの多くの光ニューロンが、光導波路を使ってどのように相互接続し、人の脳を真似る多くの「ニューロンレイヤ」のディープネットワークを形成するかを説明している。情報は、ネットワーク層を通過し、各ステップが入力画像を学習済みのカテゴリーの1つへの分類を支援する。研究では、チップが分類した画像は、手書き、文字のようなものだった。
われわれの脳のニューラルネットワークのように、このディープネットワークは、素早い情報処理ができるように設計されている。研究チームは、そのチップが1/2nsで完全な画像分類を実行できることを実証した。この時間は、従来のデジタルコンピュータチップが、クロックベーススケジュールで、わずか1つの計算ステップを完了するのにかかる時間である。
Aflatouniは、「この研究におけるわれわれの次のステップは、チップのスケーラビリティを調べ、3D物体の分類に取り組むこと。次に恐らく、非光データ分類の世界に入っていく」と話している。
(詳細は、https://blog.seas.upenn.edu)