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テラヘルツレーザの室温発振を理論実証

June, 20, 2022, 和光--理化学研究所(理研)光量子工学研究センターテラヘルツ量子素子研究チームの王利研究員、林宗澤研究員、平山秀樹チームリーダーらの研究チームは、小型で高出力のテラヘルツ(THz)光レーザ素子として実用化が期待されるテラヘルツ量子カスケードレーザ(THz-QCL)の室温以上における発振動作を初めて理論的に予測した。

研究成果は、透視検査や無線通信、THz-LiDAR[3]などの応用に向けたTHz-QCL光源の実用化に貢献すると期待できる。

今回、研究チームは、これまで低温でしか動作しなかったTHz-QCLの高温動作を可能にするため、動作機構を刷新する量子構造を取り入れた。その結果、従来の最高動作温度である250K(-23℃)を大幅に上回る340K(67℃)でレーザ発振が可能であることを、非平衡グリーン関数法(NEGF法)を用いた厳密解析により明らかにした。複数のリーク電流経路を完全に遮断する「アイソレート3準位機構」と、従来の共鳴トンネル注入を改変した「間接注入機構」を用いることで高温動作が可能になり、これを実現する「変形2量子井戸型構造」を導入することで、初めて室温以上でレーザ発振に必要な光利得が得られることを示した。

研究成果は、科学雑誌『Applied Physics Express』(4月22日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)