June, 17, 2022, Innsbruck--量子コンピュータを実際に利用するには、エラーが検出され、補正されなければならない。オーストリア、インスブルック大学で今回、実験物理学者チームが、障害耐性量子ビットでユニバーサルな一連の計算操作を初めて実行し、エラーが結果を台無しにすることなく、量子コンピュータでアルゴリズムをどのようにプログラムできるかを実証した。
現代のコンピュータでは、処理中および蓄積情報のエラーは、高品質製造により、珍しくなっている。しかし、単一のエラーでさえ深刻な影響を与える重要なアプリケーションでは、処理データの冗長性に基づいた誤り訂正メカニズムが、まだ使用されている。
量子コンピュータは、本質的に、極めて障害の影響を受けやすく、したがって恐らく常に誤り訂正メカニズムを必要とする。そうでなければ、誤りがシステム内で制御されずに伝播し、情報が失われるからである。量子力学の基本法則は、量子情報の複製を禁じているので、冗長性は、論理的量子情報を複数の物理システムのエンタングル状態に分配することで達成できる、例えば多数の個別原子。
インスブルック大学の実研物理学部のThomas Monz、RWTH Aachen University、ドイツのMarkus MüllerとForschungszentrum Jülichをリーダーとするチームは、2つの論理量子ビットで一連の計算操作を初めて成功させた。これは、可能な操作に実装するために使える。
インスブルックの実験物理学者、Lukas Postlerは、「実世界の量子コンピュータには、全てのアルゴリズムをプログラムできるユニバーサルな一連のゲートを必要とする」と説明している。
基本的な量子操作の実現
研究チームは、この汎用ゲートセットを、16のトラップ原子を特徴とするイオントラップ量子コンピュータに実装した。量子情報は、2つの論理量子ビットに蓄積され、各々が7個の原子で分配された。今回、初めて、これら障害耐性量子ビットに2つの計算ゲートを実装することができた。これらは、ユニバーサルゲートセットに必要である。2つの量子ビット(CNOT ゲート)と論理Tゲートでの計算操作である。論理Tゲートは、障害耐性量子ビットに実行することが特に難しい。
「Tゲートは、非常に基本的な操作である」と理論物理学者、Markus Müllerは説明している。「Tゲートは、特に興味深い、Tゲートなしの量子アルゴリズムは、古典的コンピュータで比較的簡単にシミュレートでき、どんな可能なスピードアップも無効にするからである。これはもはや、Tゲートを持つアルゴリズムでは、可能でない」。
物理学チームは、論理量子ビットで特殊な状態を準備しそれを、エンタングルしたゲートオペレーションにより、別の量子ビットにテレポートすることでT-ゲートを実証した。「
複雑さは増すが、正確さも
エンコードされた量子ビットでは、保存量子情報は、エラーから保護されている。しかし、これは計算操作なしでは無用である。これらの操作そのものがエラーを起こしがちである。研究チームは、基礎となる物理的操作によって起こるエラーも検出され補正されるように論理量子ビットで操作を実行した。したがって、チームは、エンコードされた論理量子ビットにユニバーサルな一連のゲートの初の障害耐性実装を行った。
「障害耐性実装は、非障害耐性操作よりも多くの操作を必要とする。これは、単一原子のスケールでより多くのエラーを導入するが、それにも関わらず論理量子ビットでの実験操作は、非障害耐性論理操作よりも優れている」とThomas Monzは報告している。「努力と複雑性は増すが、結果としての品質は優れている」。
研究チームは、数値シミュレーションを使って古典的コンピュータで、実験結果をチェックし、確認した。
物理学チームは、今回、量子コンピュータで、障害耐性コンピューティングの全構成要素を実証した。次のタスクは、これらの方法をもっと大規模な、より有用な量子コンピュータに実装すること。インスブルック、イオントラップ量子コンピュータで実証された方法は、量子コンピュータの他のアーキテクチャでも利用可能である。
(詳細は、https://www.uibk.ac.at)