June, 14, 2022, Washington--セントラルフロリダ大学の研究者は、2つの多重技術を統合してデータを同時転送できる40の光データチャネルを構築するSiベース光通信リンクを実証した。
新しいチップスケールインタコネクトは、10万のストリーミングビデオ相当、約400GB/sのデータを伝送できる。これは、ビデオストリーミングサービスから株式市場の大容量取引まで、データ集約型のアプリケーションを改善する。
「インターネットでデータ転送要求が増加するにつれて、われわれは、データレートをさらに増やす新技術を必要としている。光インタコネクトは、電気よりも多くのデータを転送できるので、われわれの研究により、インターネットのバックボーンを形成するデータセンタではデータの処理が向上し、高速化できる」とセントラルフロリダ大学のオプティクス&フォトニクス学部(CREOL)、研究チームリーダー、Peter Delfyettは、説明している。
多研究機関グループの研究者は、Optics Lettersで新しい光通信リンクを説明している。それは、NISTで開発された新しいフォトニック結晶共振器に基づいた周波数コム光源により、スタンフォード大学の研究者が設計した最適化モード分割多重(MDM)を利用して40チャネルを達成している。各チャネルは、異なるビデオチャネル、つまり周波数のように、異なる音楽ステーションを伝送するために使える。
論文の筆頭著者、Chinmay Shiirpurkarは、「これらの新しい周波数コムが完全統合光インタコネクトで使えることを示した。全てのフォトニックコンポーネントは、Siベースの材料からできており、したがってローコスト、製造容易な光インタコネクトから光情報ハンドリングデバイスを作れる可能性を実証している」とコメントしている。
インターネットデータ伝送だけでなく、新しい技術を使って、より高速の光コンピュータを作ることもできる。これは、人工知能、マシンラーニング、大規模エミュレーションや他のアプリケーションに必要なハイレベルのコンピューティングパワーを提供する。
マルチ光次元の利用
新しい研究は、ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)のFirooz Aflatouniをリーダーとして、NISTのScott B. Papp、スタンフォード大学のJelena Vuckovic、CREOLのDelfyettがチームを構成する。それは、Package for Extreme Scalability (PIPES)プログラムのDARPA Photonicsの一部。狙いは、光を使ってパッケージ化された集積回路のデジタル接続性を大幅に改善すること。これにはマイクロコムベースの光源を利用する。
研究チームは、内壁でナノパタン振動を持つリング状に形成されたシリコン基板上に五酸化タンタル(Ta2O5)を利用して光リンクを構築した。結果としてフォトニック結晶マイクロリング共振器は、レーザ入力を10の異なる波長に変える。チームは、各波長が、それぞれが異なる形状を持つ4つの新しいビームに変換されるようにMDMを設計、最適化した。この空間次元を加えることで、データ容量が4倍になり、40チャネルが生まれる。
データが各ビーム形状と各ビームカラーにエンコードされると光は、単一ビームに再統合され、送り先へ伝送される。最終目的地では、波長とビーム形状が分離され、独立に受信、検出可能となる。他の伝送チャネルからの干渉はない。
「われわれのリンクの利点は、従来のリング共振器で実証されたものと比較して、フォトニック結晶共振器がソリトン生成を容易にし、フラットなコムスペクトルを可能にすることである。これらの特徴は、光データリングに有益である」とNISTのJizhao Zangは説明している。
逆設計で性能向上
MDMを最適化するために研究チームは、フォトニック逆設計という計算によるナノフォトニック設計アプローチを採用した。この方法は、フットプリントを小さくし、効率向上、新機能を提供しながら、可能な設計の全範囲を探求する、より効率的な方法を提供する。
スタンフォード大学、論文の共同筆頭著者、Kiyoul Yangは、「フォトニック逆設計アプローチによりわれわれのリンクは、カスタマイズ性か高くなり、特殊なアプリケーションのニーズに適合できる」と説明している。
新しいデバイスのテストは、シミュレーションとよく一致しており、チャネルは、-20dB以下の低いクロストークを示すことが確認された。-10dBm以下の受信光レシーバパワーを利用してリンクは、ストレスをかけた高速回路テストの標準PRBS31パタンを使い、40チャネルのうち、34チャネルでエラーフリーデータ転送を示した。
研究チームは、フォトニック結晶マイクロリング共振器を組み込むことでデバイスをさらに改善しようとしている。これにより波長が増え、即ちより複雑なビーム形状を利用できる。これらのデバイスの商用化には、高帯域、低消費電力、小フットプリントのトランスミッタとレシーバの完全集積が必要である。これにより、データセンタネットワークで利用するための次世代光インタコネクトが可能になる。