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NREL、40%の効率で熱から光をキャプチャー、TPVで躍進

June, 3, 2022, Golden--国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は、太陽から最高効率で光を取得するソーラセル構築の長い歴史を持つ。しかし、太陽は、フォトボルテイクス(PV)がエネルギーを獲得できる唯一の光源ではない。熱い物体も光を発する、一般にもっと長い、低エネルギーの波長である。熱光起電力(TPVs)は、光を捉えることに最適化されたフォトボルテイックセル(光電池)である。
 
NRLが開発した新しいフォトボルテイックセルは、TPVsで以前の世界記録の効率32%を遙かに上回る。新しいデバイスは、MITとの電気エネルギー蓄積コンセプト共同デモンストレーションで開発されたもので、Natureに発表された。

記録的効率のデバイスは、2400℃まで過熱された物体からエネルギーを獲得するために設計されており、最大効率41.1%(±1%)を達成した。平均効率は、幅広い関連温度で36..2%である。

「高効率は、TPVシステムのエンジニアリングおよび経済的実行可能性にとって極めて重要である、またこの新しい41%の記録的効率とは、この熱エネルギーグリッド蓄積コンセプトを現実にするための大きな一歩である」と、論文の著者、NRELのDan Friedmanはコメントしている。

熱から電気への変換向上は、新しいエネルギー蓄積力を約束
 意義深いことは、効率40%のTPVデバイスは、従来の蒸気タービンよりも優れた効率で熱を電気に変換できることである。石炭や原子力発電に使われているものなどよりも効率的である。TPVsは、コストを下げ、応答時間を速くする、非常に広い範囲のシステムサイズに適合する(WからGWまで)。可動パーツがほとんどないので保守コストも低い。

TPVセルは、2000℃を上回る高熱で動作するように設計されている、従来の蒸気タービンには高温すぎる温度である。天然ガスや水素は、この温度で燃焼可能であるが、恐らく最も重要な点は、ローコスト、大規模熱エネルギー蓄積システムが、この温度で動作すると考えられていることである。

熱エネルギーグリッドストレージシステムは、電気を取り入れてそれを蓄積のために高熱バッテリーとして機能する。TPVs、次にその熱を必要なときに電気に戻す。これによりローコスト、オンデマンドのクリーンエネルギーを供給する。チームが開発したTPVデバイスは、クリーンエネルギーのローコスト、スケーラブルな蓄積で重要なマイルストーンである。

「これまで、熱エネルギーグリッドストレージは、大きな注目を集めていなかった。従来、熱エネルギーを電力に変換することにのみを重視していて、その逆ではなかったからである」とNREL研究者、Zhiwen Maは言う。同氏は、この研究とは関係ない別の熱エネルギーグリッドストレージシステムプロジェクトの主任研究者。「エネルギーを蓄積するために電気から熱への変換を利用することは、エネルギーストレージ規模を拡大し、それを必要とされるところに設置する上では極めて有益である。新しい世界記録のTPVセルの開発は、熱エネルギーストレージの熱から電力への変換を改善し、同技術を以前よりも魅力的にし、ますます増加する再生可能への統合必要性をサポートする」。

注意深い設計により世界記録のTPVセル
 41%効率TPVデバイスは、多層セルであり、相互にスタックされた2つの光吸収層と各々がわずかに異なる光波長を吸収するように最適化されたもので構築された光起電力デバイス。チームは、過去のTPV設計と比較してより高いエネルギーの赤外光を吸収するように最適化された高性能セルを利用してこの記録的効率を達成した。この設計は、NRELチームの以前の成果に立脚している。

高効率につながるもう1つの重要な設計的特徴は、セル裏面の高反射率ゴールドミラーである。放出される赤外光の多くは、セルの活性層が吸収できるよりも長波長(エネルギーが少ない)である。この裏面リフレクタは、吸収されなかった光の93%をエミッタに戻し、そこで再吸収され、再放出されるので、システムの全般的効率が向上する。バックリフレクタのさらなる改善により、将来のTPV効率は、50%に近づき、それを超える可能性がある。

(詳細は、https://www.nrel.gov)