June, 3, 2022, Chicago--東京工業大学 理学院 化学系の田久保耕特任助教、Samiran Banu大学院生、腰原伸也教授らは、筑波大学 数理物質系の羽田真毅准教授、矢嶋渉大学院生、名古屋大学 未来材料・システム研究所の桑原真人准教授と共同で、光励起で起きる10兆分の1秒(100fs)以下の構造変化を観測するテーブルトップサイズ電子線回折装置を世界で初めて開発した。
開発された装置は大型の加速器を用いず、レーザと小型加速器の精密制御による新たなパルス電子線発生技術を利用することで、約50fs以下という、結晶材料中の原子や分子が振動する速さでの変化を高精度でコマ撮りできる。実際にこの装置を用いて、典型的半導体である単結晶Siに光があたるとSi原子がどのように動くのかという、光デバイス開発の最も基本的な情報を得ることに初めて成功した。
この装置では、従来よりも加速電圧を抑えた(10万ボルト)電子線を用いているため、試料損傷もほとんどなく、無機物質から有機物質まで広がる光エネルギー変換材料や光メモリー、トポロジカル材料など幅広い材料開拓への貢献が期待される。
研究成果は5月31日(現地時間)に、「Review of Scientific Instruments」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.titech.ac.jp)