May, 27, 2022, Atlanta--ジョージア州立大学の研究者は、新しいタイプの人工視覚デバイスの開発に成功した。これは新しい垂直スタッキングアーキテクチャを持ち、マイクロレベルでより深い色認識とスケーラビリティを可能にする。この新しい研究は、ACS Nanoに発表された。
「この研究は、われわれの最終目標、マイクロロボット向けマイクロスケールカメラ開発への第一歩である。われわれは、この新しいタイプのイメージセンサを構築するための基本原理と実行可能性を微小化を強調しながら説明している」と研究リーダー、物理学准教授、Sidong Leiはコメントしている。
Leiのチームは、生体模倣人工視覚デバイスの基盤を構築することができた。これは、合成法を用いて、ナノテクノロジーを利用し生化学プロセスを模擬する。
「研究、産業、医療、またわれわれの日常生活で、80%以上の情報が視覚で得られることはよく知られている。われわれの研究の究極の目的は、マイクロロボット向けにマイクロスケールカメラの開発である。マイクロロボットは、現在の手段では触れることができない狭い空間に入り込み、医療診断、環境研究、製造、考古学などで新たな地平を拓くことができる」と同氏は説明している。
この生体模倣「電子の眼」は、最も重要な視覚機能、色認識を進歩させる。この点は、現在の研究では見逃されている。普及しているカラーセンシングデバイスの小型化が難しいからである。従来のカラーセンサは、一般に横方向のカラーセンシングチャネルレイアウトであり、大きな物理的スペースを占め、精確なカラー検出は劣る。
研究チームは、ハードウエア設計に新たなアプローチを提供する独自のスタッキング技術を開発した。垂直カラーセンシング構造で強化されたワンデルワールス半導体は、精確なカラー認識能力を持ち、これにより人工視覚システムの小型化のための光学レンズ系の設計が簡素にできる。
Leiの機能材料スタジオの院生、Ningxin Liによると、最近の技術進歩がその新しい設計を可能にした。
「われわれの画像センサアーキテクチャで達成された新しい機能は、ここ数年で急速に進歩したワンデルワールス半導体によるものである。シリコンのような、従来の半導体と比較して、われわれはワンデルワールス材料のバンド構造、厚さ、RGBカラーを感知するための他の重要なパラメタを精密制御できる」(Li)。
垂直カラーセンサで強化されたワンデルワールス半導体(vdW-Ss)は、新興材料である。ここでは個々の原子層が弱いワンデルワールス力で結合されている。これらが、新しい物理学を発見し、次世代デバイスを設計するための最も際立つプラットフォームの一つを構成する。
「これらの半導体材料の超薄型、機械的柔軟性、化学的安定性によりわれわれは、それを任意の順序でスタックできる。したがって、われわれは、現在の平面マイクロ電子レイアウトに対して、実際に3D集積戦略を導入しているところだ。より高い集積密度は、われわれのデバイスアーキテクチャがカメラの小型化を加速する主な理由である」(Li)。
その技術は現在、ジョージア州技術移転&商用化局(OTTC)で特許申請中である。OTTCは、この新しい設計は、ある産業パートナーでは感心が高まると見ている。「この技術は、現在のセンサに見られる主要な欠点の一部を克服する可能性がある。ナノテクノロジーが進歩し、デバイスがよりコンパクトになるにしたがい、これらの小型で高感度カラーセンサは、信じられないほど有用になる」とOTTCディレクタ、Cliff Michaelsは話している。
研究者の考えでは、その発見は、いずれ視覚障害に役立つ進歩さえ生み出すことができる。
「この技術は、生体模倣電子の眼、他のニューロモルフィック(神経形態学的)開発にとって重要である。高品質カラーセンシングと画像認識機能は、将来、視覚障害にカラフルなアイテム知覚の新たな可能性を開く」(Li)。
Leiによると、チームは、この発見から学んだものを利用して、引き続きこれら高度な技術を前に進めていく。
「これは大きな前進だが、われわれはまだ前方の科学的、技術的課題に直面している、例えば、ウエファスケール集積だ。商用画像センサは、数100万ピクセルを集積して、HD画像を作り出すが、これは、われわれのプロトタイプでは、まだ実行されていない。この大規模ワンデルワールス半導体デバイス集積は、現在、研究界全体が乗り越えるべき重要課題である。われわれのチームが努力を傾けている全国的なコラボレーションが必要である」とLeiはコメントしている。
(詳細は、https://news.gsu.edu)