May, 9, 2022, Bayreuth--光波の安定パケット、いわゆる光ソリトンは、閃光チェーンとして超短パルスレーザで放出される。これらソリトンは、結合して、非常に短い時間的分離でペアになることがよくある。テラヘルツ領域で原子振動を導入することで、バイロイトおよびヴロツワフ大学(Universities of Bayreuth and Wrocław)の研究者は、今回、これらの時間的リンク形成の仕方のナゾを解くことができた。研究チームはNature Communicationsにその発見について報告している。結合光パルスのダイナミクスは、超高速に材料の「フィンガープリント」特性として原子振動を計測するために利用できる。
超短パルスレーザでは、光ソリトンは、特に緊密な空間的時間的結合を形成できる。これらは、超短「ソリトン分子」とも呼ばれている。それらが分子の化学結合原子に似た、相互安定的に結合しているからである。バイロイトの研究グループは、この結合がどのように生まれるかを知るためにチタン原子ドープのサファイア結晶でできた、広く利用されている固体レーザを使用した。最初に、単一の先導的閃光がサファイア結晶格子の原子を刺激して瞬時に振動を起こさせる。これらの特徴的運動がテラヘルツ領域で振動し、数ピコ秒以内に再び減衰する。この極めて短い時間スパンで、結晶の屈折率が変わる。第2閃光が直ぐに続き、最初の閃光に追いつくと、それがこの変化を感知する。それは原子振動にわずかに影響されているとともに、先行ソリトンに安定的に結合できる。「ソリトン分子」の誕生である。
「われわれが発見したメカニズムは、ラマン散乱と自己集束という物理的効果に基づいている。それは、30年以上前にTi:Saレーザの発明以来、科学を当惑させてきた様々な現象を説明する。その発見で特に素晴らしいことは、レーザキャビティ内での生成中にソリトンのダイナミクスを利用して、材料の原子結合を極めて迅速にスキャンできること。いわゆるキャビティ内ラマンスペクルとの計測全体は、今では、1秒の1/1000以下でできる。これらの成果は、特に材料特定に使用できる高速で化学的感度のある顕微鏡の開発に役立つ可能性がある。加えて結合メカニズムは、原子運動による光パルス制御に新たな戦略を開き、また逆に光パルスによるユニークな物質状態生成に新戦略を開く」とバイロイト大学超高速ダイナミクス准教授、研究主任、Dr. Georg Herinkは説明している。
実験データの分析と並行して、研究グループは、ソリトンダイナミクスの理論モデル開発に成功した。そのモデルは、実験で得られた観察を説明し、ソリトンダイナミクスで原子振動の新たな効果を予測できる。光システムにおけるソリトンの相互作用、高速分光学へのその応用は、バイロイト大学DFG研究プロジェクトFINTECで、現在研究が進んでいる。