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蜂蜜は脳のようなコンピュータチップになる可能性がある

April, 27, 2022, Vancouver--ワシントン州立大学(WSU)の研究者は、蜂蜜は、ニューロモルフィック(神経形態学的)コンピュータの環境に優しいコンポーネント開発のためのスイートソリューションに違いないと言う。
 ニューロモルフィックコンピュータとは、ヒトの脳にあるニューロンやシナプスを模擬するように設計されたシステム。

コンピュータの未来として一部から歓迎されているニューロモルフィックシステムは、従来のコンピュータよりも遙かに高速で、省エネである。同大学のエンジニアは、それらをより有機的にする方法も実証した。Physics D誌に発表された研究で研究チームは、蜂蜜がメムリスタの作製に利用できることを示している。メムリスタとは、処理だけでなく、メモリにデータを蓄積できるトランジスタに類似するコンポーネント。

WSUの工学・コンピュータサイエンス准教授、論文の責任著者、Feng Zhaoは、「これは単純な構造の非常に小さなデバイスであるが、人のニューロンに極めて類似の機能をもっている。つまり、これらの蜂蜜メムリスタを数100万、数10億を集積できると、ヒトの脳のように機能するニューロモルフィックシステムにできる」と説明している。

研究では、Zhaoと論文の筆頭著者、同氏の院生、Brandon Sueokaは、蜂蜜を固形に加工処理し、それを2つの金属電極で挟むことでメムリスタを作製した。つまり、人のシナプスに類似の構造を作った。次にチームは、シナプスの機能を真似る蜂蜜メムリスタの能力をテストした。テストは、ONとOFF、それぞれ100nsと50nsの高速スイッチングにより実施。そのメムリスタは、スパイク時刻依存可塑性とスパイク頻度依存可塑性として知られるシナプス機能をエミュレートした。これらは、ヒトの脳の学習プロセス、ニューロンの新規情報保持に関与している。

WSUエンジニアは、マイクロスケールで蜂蜜メムリスタを作製した。それらは、人の髪の毛のサイズ程度である。研究チームは、それらをナノスケールで開発し、数100万、あるいは数10億を束ねて完全ニューロモルフィックコンピューティングプロセスを作る計画である。

現在、従来のコンピュータシステムは、いわゆるフォン・ノイマンアーキテクチャに基づいている。このアーキテクチャは、通常キーボードやマウスからの入力、モニタなどの出力を必要とする。またCPU、RAM、つまりメモリストレージを持つ。入力から処理、メモリ、出力まで、全てのこれらのメカニズムでデータを転送すると、ヒトの脳に比べると、少なくとも膨大なパワーを必要とする。例えば、富岳スーパーコンピュータは、走らせるために最大28MWを使用する、それに対して脳は、10~20Wを使用するだけである。

ヒトの脳には、1000億以上のニューロン、その中には1000兆以上のシナプス、接続が存在する。各ニューロンは、データの処理と蓄積の両方を行う。つまり、脳は、従来のコンピュータよりも遙かに効率的であり、ニューロモルフィックコンピューティングシステムの開発社は、その構造を真似ることを目標にしている。

IntelやIBMを含む複数の企業が、ニューロモルフィックチップをリリースしている。これらは、チップ当たり1億「ニューロン」超相当であるが、これは、まだ脳における数に達していない。Zhaoのチームを含む多くの開発者が、この有望な新しいタイプのコンピューティング用途に生分解性、再生可能ソリューションを探している。Zhaoもタンパク質や他の糖、アロエベラの葉にあるこのような糖などの主流探求者であるが、同氏は蜂蜜に強力な潜在性を見ている。

「蜂蜜は、ダメにならない。それは非常に低水分であるので、その中でバクテリアは生存できない。つまり、これらコンピュータチップは、極めて安定であり、長期信頼性がある」。

WSUで開発された蜂蜜メムリスタチップは、ニューロモルフィックシステムが発生する低レベルの熱に耐性がある。そのシステムは、従来のコンピュータほど熱くならない。蜂蜜メムリスタは、電子廃棄物の削減にもなる。

「蜂蜜でできたコンピュータチップを使うデバイスを廃棄したいなら、それらを簡単に水に溶かすことができる。これらの特別な特性により、蜂蜜は、再生可能、生分解性ニューロモルフィックシステムの作製に極めて有用である」

とは言え、Zhaoによると、ユーザは、それにコーヒーをこぼさないようにしなければならない。

(詳細は、https://s3.wp.wsu.edu)