August, 25, 2014, Heidelberg--細胞構造が引き起こす多くの障害により、細胞内のタンパク質の動きが阻害される。ハイデルベルク大学とドイツガン研究センタの研究グループは、生きた細胞内のタンパク質を多重時間、長さスケールで観察することで細胞内トポロジーのマッピングに成功した。
新しい蛍光顕微鏡ベース技術を開発することで研究チームは、タンパク質が生きた細胞内で0.2マイクロメートルから3マイクロメートルの範囲の距離を動くのに要する時間を測ることができた。Dr. Karsten Rippeの研究チームは、データを分析し、細胞内の構造を構築する数学モデルを開発した。
タンパク質は、それが活性化する場所にたどり着く道を見つけ出さなければならない。したがって、細胞の空間的構造はタンパク質輸送と細胞機能のための重要な要素になる。「細胞構造は、これまで多くの微視的研究で明らかになつているが、細胞内の拡散タンパク質が、この内的障害ネットワークをどのように識別するかは、まだ明らかになっていない」とDr. Rippeは言う。この問題に対処するために研究チームはタンパク質のランダムな動きから細胞のトポロジーを推論する方法を考案した。蛍光タンパク質を観察するために、独自の蛍光分光システムを作製。Karsten Rippe氏によると、最大の障害は、細胞核の密に充填したDNAエリアだった。
タンパク質の移動距離が長くなると「ストップ&ゴー」動作となり、平均移動速度は落ちる。タンパク質の動きを分析し、研究チームはこの移動に必要となる距離と、それに応じた位置変更の回数をマッピングした。このデータをベースにした数学モデルにより、細胞内のタンパク質の整然とした動きを記述し、そのトポロジーを再構築することができた。現在利用できる光学顕微鏡画像よりも遙かに高解像度である、とDr. Rippeは指摘する。
「細胞内を動くタンパク質が遭遇する障害となる構造は、スポンジのように多孔質である」。大きなタンパク質は、時にはこの動的構造に数分捉えられていることがあった。さらに、化学療法やマラリア処置で使用される薬剤が核内のタンパク質の動きに影響を与え、稠密DNAをより透過的にするこことがわかった。研究チームは、この新しいアプローチでさらに実験を進め、細胞構造における薬剤による変化とタンパク質輸送との相互関係、このプロセスの病気に関連した規制解除との相互関係に焦点を当てることを計画している。