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プリンストン大学、レーザで血糖値を計測

August, 25, 2014, Princeton--プリンストン大学(Princeton University)の研究チームは、レーザを使って血糖値を計測する方法を開発した。さらに、レーザシステムをポータブルサイズに縮小するために取り組んでおり、この技術により針で採血することなく糖尿病の検査ができるようになる。
 研究チームが発表した論文によると、レーザは損傷を与えることなく皮膚を透過し、患者の体の糖分子によって一部が吸収される。その吸収量を利用して血糖値レベルを計測する。論文の筆頭著者Sabbir Liakat氏は、この方法の正確さに驚いていると言う。患者の実際のレベルの20%以内で血糖を読み取るにはグルコースモニタが必要になる。新開発のシステムでは、初期バージョンのシステムでさえこの基準を満たしている。現在のバージョン84%の正確さである、とLiakat氏は言う。
 現在、このシステムに使用するレーザは室温動作が可能になっており、残る開発は小型化である。
 このシステムの要は赤外レーザの周波数。中赤外レーザは化学物質の影響をあまり受けないので、血糖の計測には適している。しかし中赤外光は、標準的なレーザで利用することは難しい。また、皮膚を透過して体液で散乱するには、相対的にハイパワーと安定性が必要になる(目標は血液ではなく、血糖と強い相関がある間質液)。
 ブレイクスルーは、特に中赤外周波数生成を得意とする新しいタイプのデバイス、量子カスケードレーザ(QCL)の利用だった。
 QCLでは、電子が半導体層の「カスケード」を通過する。ビームを、多様な周波数の1つに設定することができる。周波数を特定できるので、研究チームは中赤外域のレーザを実現することができた。QCLの最近の進歩により、皮膚を透過するのに必要なパワーと安定性が得られている。
 実験のために研究チームは、3人の健康な人々の血糖を計測した。計測は、それぞれ20個のゼリービーンズを食べる前と後に行われた。ゼリービーンズは血糖レベルを上げることで知られている。また、計測をフィンガープリック(指に針を刺す)テストと比較した。計測は数週間繰り返し行われた。
 研究チームによると、レーザ計測読み取りの平均誤差は、標準的な血糖モニタよりも若干大きかったが、臨床的に要求される正確さの範囲に収まっている。
(詳細は、www.princeton.edu)