April, 6, 2022, Washington--蘇州大学の研究チームは、新開発のフラットレンズにより、大幅に視距離を延ばしたプロトタイプのグラスフリー3Dライトフィールドシステムを実証した。システムは、コンパクト、リアルに見える3Dディスプレイへの重要な一歩であり、テレビ、可搬電子機器、卓上機器に使える。
ライトフィールドディスプレイは、グラスなしで見ることができるフルカラーリアルタイム3Dビデオを生成するために、高密度の光線フィールとを使う。3Dディスプレイを作るこのアプローチにより、複数の人々が、同時に仮想シーンを、実際の3Dオブジェクトのように、見ることができるようになる。
「ほとんどのライトフィールド3Dディスプレイは、視距離に限界がある。これは、デバイスから離れて動くときの3D仮想画像劣化の原因である。われわれが設計したナノ構造フラットレズは、わずか100µm厚であり、非常に大きな焦点深度を持つ。つまり、高品質仮想3Dシーンを離れて見ることができる」と蘇州大学のWen Qiaoは説明している。
Optica発表の報告でチームは、そのプロトタイプディスプレイが、24~90㎝の視距離で、高効率、高カラー忠実度を示すことを説明している。これらの特徴は、すべて統合して、より現実的な視経験を実現する。
「われわれが、この新しい技術を開発したのは、ビデオ会議中に人々に実際にいっしょにいるかのように感じさせるディスプレイを作ることを考えていたからである。ナノテクノロジーの継続的開発で、われわれは、グラスフリー3Dディスプレイが、日常生活の通常部分になり、人々がコンピュータと相互作用する仕方を変えると見ている」(Qiao)。
多視点創造
ライトフィールドディスプレイは、様々な視点を投影することで現実的な画像を生成する。これにより3Dシーンは、異なる角度から見たときに同じように見える。これらの視点を作るために使われるレンズの焦点長は、視距離では、制限要因となる。
これを克服するための研究チームは、光を集光するような仕方でフラットな表面にナノ構造をパタンニングすることで、新しい回折フラットレンズを注意深く設計した。
「フラットレンズは、従来のガラスレンズと比べると非常に優れた光操作機能であるので、それらは3Dデディスプレイにおける厄介な問題、限られた運動視差、クロストーク、視覚疲労や限られた視距離の解決に使用できる」(Qiao)。
プロトタイプのテスト
LCDsで画像生成に使われる赤、緑、青の光に焦点を合わせたときにレンズが高い解像度を達成することを示した後、チームは、それらを4-インチプロトタイプ3D光フィールドディスプレイに組み込んだ。視距離は24~90㎝であった。
そのディスプレイは、スムースな水平視差を形成する、全視距離でクロストークは26%以下、これは、眼精疲労の原因となる、あるいは画像が非現実的になるクロストークがほとんどないことを意味する。ディスプレイは、これまでに報告された類似の3Dディスプレイシステムよりも遙かに高い、82%に達する光効率を示した。高い光効率は、明るい仮想画像生成、特にポータブルエレクトロニクスなど、消費電力が問題になるアプリケーションでは重要である。
プロトタイプは、視野角がわずか9°だったが、研究チームによると、これは、フラットレンズを作るために使用されているナノ構造の設計を最適化することでほぼ180°に拡大できる。この研究に加えて、チームは、各ピクセルで光ビームを操作する、より高度なデザインアルゴリズムを開発することで光効率をさらに改善する計画である。このタイプのディスプレイが実用的になるように製造するには、ナノ構造製造のより簡単な方法も必要になる。