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乳ガンイメージングを改善するディープラーニング

March, 25, 2022, Hanover--ダートマス大学(Dartmouth college)の研究者は、乳ガン検出改善に貢献する新しい画像再建アプローチを開発した。ディープラーニング(DL)アルゴリズムが、画像のリアルタイムリカバリを可能にすることでマルチモーダルイメージングにおける主な障害を克服する。

Optica発表論文で研究チームは、Z-Netとして知られる新しいアルゴリズム、また、それがイメージングプラットフォームとどのように機能するかを説明している。これは、光スペクトル情報とコントラストフリーMRIを統合し、乳ガン検出を改善する。

「われわれが開発した近赤外スペクトルトモグラフィ(NIRST)とMRIイメージングプラットフォームは有望であるが、画像再構成にかかる時間と労力のために、それが日々の臨床ワークフローになっていない」と同大学研究チームリーダー、Keith Paulsenは、説明している。「したがって、われわれはディープラーニングアルゴリズムを設計した。これは、MRIからの解剖学的画像データを組み込んで、NIRST画像情報を誘導する。組織における複雑な光伝搬モデリングは不要である」。

Paulsenと北京工業大学、バーミンガム大学の研究者は、その新しいアルゴリズムが、患者の乳房検査からのMRIガイドNIRSTイメージングデータを利用して悪性腫瘍と良性腫瘍を区別できると報告している。

「Z-NetによりNIRSTは、乳ガンスクリーニングと診断のための非接触MRIの効率的、効果的拡張機能(アドオン)になる。それにより、MRIガイドNIRST画像が、ほぼリアルタイムで再生できるからである。また、それは、マルチモーダルデータが利用できる他のガンや病気にも直ちに適用可能である」とPaulasenは話している。

ディープラーニングの適用
今日、ダイナミック造影剤増強法(DCE)は、最も高感度な乳ガン検出法と認められている。しかし、DCE MRIは、造影剤の静脈注射を必要とし、疑陽性率が高い。非接触MRIガイドNIRSTは、造影剤注入不要、電離放射線不要の代替法となる。統合画像の再構成は、複雑な光伝搬モデル、時間のかかるMRI画像分析を必要とする。

研究チームは、画像再構成プロセスを高速化するためにディプラーニング(DL)を利用した。DLは、人の脳の動作の仕方と同じように情報ピースを関連付けるマシンラーニングアプローチであり、研究チームは、そのアルゴリズムを訓練して、パタンや複雑な関係を認識できるようにする。

「Z-Netアルゴリズムは、新しい画像を生成するのに必要な時間を数秒に短縮する。さらに、われわれが開発したマシンラーニングネットワークは、コンピュータシミュレーションで生成されたデータでトレーニングできる。収集し処理してトレーニングデータにするのに時間がかかる実際の患者からの画像は必要としない」と論文の筆頭著者、Jinchao Fengは説明している。

臨床試験
そのアルゴリズムをトレーニングした後、研究チームは、シミュレートしたデータを使って再構成された画像の品質が拡散光伝搬モデリング、あるいはMRI画像を分割をしないことによる劣化がないことを確認した。

チームは、将来を見込して新しいアルゴリズムを、2度の乳房イメージング実験で収集したMRIガイドNIRSTデータに適用した。1つは、生検で確認されたガン診断、もう一方は良性の異常。新しいアルゴリズムは、悪性と良性の例の差を示すことができる画像を生成した。

「われわれのアプローチの可能性を示すだけでなく、その成果は、生体内データが不十分か、DLアルゴリズムトレーニングを利用できないとき、大量のシミュレーションデータが有効になることも証明している」とShudong Jiangは話している。同氏は、論文の共著者、シミュレーションMRIと光ブレストイメージング技術開発の先駆者である。

研究チームは、新しい画像再構成法を適用して、3Dデータと連携させることに取り組んでいる、またそれを近い将来、大規模な臨床試験でテストする計画である。

論文
“Deep Learning Based Image Reconstruction for MRI Guided Near Infrared Spectral Tomography,” Optica, 9 (2) (2022).
DOI: https://doi.org/10.1364/OPTICA.446576