March, 18, 2022, Amherst--マサチューセッツ州立大学アマースト(University of Massachusetts Amherst)の研究チームは、国立科学アカデミープロシーディングスで、驚愕の品質を備えた新しいゴムのような固体物質の設計を発表した。それは、膨大な量のエネルギーを吸収、放出できる。また、プログラム可能でもある。まとめると、この新しい材料は、幅広いアプリケーションに極めて有望である。付加エネルギーなしでロボットをより強力にすることから、素早くエネルギーを放出する新しいヘルメットや保護材料までである。
UMass Amherst、ポリマ科学・工学教授、Alfred Crosbyは、ゴムバンドの例を挙げて、「引っ張って、次にそれを離すと、それは部屋の向こうに飛んでいく。今度は、スーパーラバーバンドを考えてみる。それをある点以上に伸ばし、その材料に蓄積された余分なエネルギーを活性化させる。このラバーバンドを離すと、それは1マイルも飛ぶ」と説明している。
この仮定のラバーバンドは、新しいメタマテリアルでできている。それは、天然素材にはない特性を持つように設計された物質で、弾性の、ゴムのような物質とそれに埋め込んだ微小な磁石を組み合わせている。この新しい「弾磁性」材料は、位相シフトとして知られる物理的特性を利用して、その材料が放出または吸収できるエネルギー量を著しく増幅することができる。
位相シフトは、材料がある状態から別の状態に移行するときに起こる。材料が、その位相をシフトするときはいつでも、エネルギーは放出か吸収のいずれかとなる。また位相シフトは単に、液体、固体、気体状態に限られない。シフトは、ひとつの固体位相から別の固体位相で起こる。エネルギーを放出する位相シフトは、動力源として利用できるが、十分なエネルギーを得るのは、常に困難な部分であった。
Crosbyによると、「エネルギー放出または吸収を増幅するには、分子、原子レベルで新しい構造を設計しなければならない」。しかし、これは簡単にはできない。予測できる方法でするのはさらに難しい。しかし、同教授によると、メタマテリアルを使うことで「われわれは、これらの難題を克服できた。また、新材料を作るだけではない、これらの材料が特定の応答でプログラムできるようにす設計アルゴリズムも開発し、それらを予測可能にした」と同教授は説明している。
チームは、自然に観察される電光石火の素早い応答の一部からヒントを得た。ハエトリグサやアギトアリ(トラップジョーアント)。論文の筆頭著者、Xudong Liangは、「われわれはこれを次のレベルに上げた」と言う。同氏は現在中国深圳、ハルピン工業大学教授であり、UMass Amherstのポスドク中に、この研究を完成させた。「微小な磁石を弾性材料に埋め込むことで、われわれは、このメタマテリアルの相転移をコントロールできる。さらに、位相シフトは予測可能で反復可能なので、われわれはメタマテリアルがわれわれが望むとおりに正確に動作するように設計できる。大きな衝撃からエネルギーを吸収する、あるいは爆発的動作のために大きなエネルギーを放出、そのいずれかである」と同氏は説明している。
(詳細は、https://www.umass.edu)