March, 17, 2022, Tampa--サウスフロリダ大学の研究者は、メタサーフェスベースのアンテナを開発した。これは、携帯電話ネットワーク、Bluetooth接続で使われるような電波からエネルギー収集を実用化する重要な一歩となる。この技術は潜在的に、センサ、LEDs、他の簡単な省エネデバイスにワイヤレスで電力を供給することができる。
「有線接続とバッテリをなくすることで、これらのアンテナは、コスト削減、信頼性改善、一部の電気システムの効率化に寄与する」とサウスフロリダ大学、研究チームリーダー、Jiangfeng Zhouは説明している。さらに同氏は、「これは、スマートホームセンサに使える。例えば温度、照明や移動、あるいはバッテリを取り替えることが困難、または不可能な建物や橋梁の構造モニタで使われるセンサである」と付け加えている。
Optical Materials Expressに発表された論文で研究チームは、新しいアンテナのラボテストで、それがローパワー無線から、簡単なデバイスへの電力供給に十分な100マイクロワットの電力を収集できることを示したと報告している。アンテナを造るメタマテリアルが電波の完全吸収を示しており、また低い強度で機能するように設計されているので、これが可能になった。
「アンテナの微小化にはもっ研究が必要だが、われわれのデバイス、実世界に存在する周囲電力レベルを利用して高効率で電力を収集する重要な閾値、100マイクロワットを超えている」と、チームメンバーClayton Fowlerは話している。同氏は、サンプルを作製し、計測を担当した。「その技術を適用して、部屋中のデバイスに電力を供給、あるいはデバイスを充電するように電波源を利用できる」。
空中からエネルギーを収集
研究者は、長年、電波からエネルギーを収集しようとしてきたが、使えるだけの十分なエネルギーを得ることは難しかった。これが変わりつつある。メタマテリアルの開発、利用できる周辺電波源、携帯電話網、Wi-Fi、GPSやBluetooth信号などの数がどんどん増えているからである。
「無線ベース技術の大爆発で、収集可能な多くの無駄な電磁波が増える。これは、メタマテリアルの進歩と相俟って、この無駄なエネルギーを収集し利用することから恩恵を受ける新しいデバイスとアプリケーションの成熟した環境を生み出した」とZhouは話している。
メタマテリアルは、小さな、注意深く設計された構造を使って、天然素材ではあり得ないような仕方で、光や電波と相互作用する。エネルギー収集アンテナを造るために研究チームは、電波をよく吸収するように設計されたメタマテリアルを使った。高電圧がデバイスのダイオードに流れるようになっている。これは、電波の電力への変換、特に低強度で、効率を改善した。
周囲電力レベルでテスト
16㎝×16㎝のデバイスのラボテストでは、チームは、電波源のパワーと周波数を0.7~2.0GHzの間で変えながら、収集電力量を計測した。電波の強度レベルは、移動通信中継塔から100m程度、わずか0.4マイクロワット/㎝2の強度で無線から100マイクロワットを収集できることを実証した。
「われわれは、通話中に携帯電話をアンテナに近づけた。それは通話中にLEDに電力を供給できる程度のエネルギへを収集していた。携帯電話タワーからエネルギー収集することで、それは一層実用的になるが、ここでははアンテナの電力収集能力を実証した」(Zhou)。
アンテナの現在のバージョンは、潜在的に電力を供給するほとんどのデバイスよりも遙かに大きいので、チームは、それの小型化に取り組んでいる。また、より多くのエネルギーを収集するように、多くのタイプの電波から同時にエネルギーを収集できるバージョンを造りたいとチームは考えている。