March, 1, 2022, Blacksburg--バージニア工科大学の機械工学准教授、Michael Bartlettをリーダーとする研究チームは、材料レベルで形状を変える新しいアプローチを考案した。チームは、ゴム、金属、温度を使って材料を変形させ、モーターやプーリーなしで、固定させる。研究成果は、Science Roboticsに発表された。
「われわれがプロジェクトを始めた時、3つのことができる材料を求めていた。形を変える、その形状を保持する、さらに元の構成に戻り、これを何サイクルも繰り返す。課題の一つは、動的に形状を変えるソフトな材料であるが、様々な機能を実行できる適応型マシーンとなる堅い材料の実現であった」(Bartlett)。
変形可能な構造を作るために研究チームは、キリガミに眼を向けた。これは、カットすることで紙から形を作る日本のアート。ゴムや合成物でそのキリガミパタンの力を観察することで、チームは幾何学的パタンを繰り返す材料アーキテクチャを作ることができた。
次に、形状を維持するが、オンデマンドで形が消去されるようにする。ここでは、チームはゴムスキン内部に埋め込んだ低融点合金(LMPA)でできた内骨格を導入した。通常、材料が伸びすぎると、金属は永久に曲り、亀裂が生じ、伸びて固定し、役に立たない形状になる。しかし、ゴムに埋め込んだこの特殊金属で、チームは、この一般的な故障メカニズムを力に変えた。伸ばすと、この合成物は、今度はただちに所望の形状になり、直ぐに加重耐性となる。ソフトな変形材料に最適である。
最後に、その材料は元の形状に戻らなければならなかった。ここでは、チームは、LMPAメッシュのそばにソフトな、つる状のヒーターを組み込んだ。ヒーターは、アルミニウムの溶融温度の10%、60℃でその金属を液体に変換させる。エラストマー表皮は、溶融金属を封じ込め、そのままにしておく。次に、その材料を元の形状に戻し、伸展を逆転させ、合成物は、研究者が「可逆可塑性」と呼ぶものになる。金属が冷えた後、それは、再びその構造の形状を維持する。
「これらの合成物は、ソフトヒーターで、ゴムに埋め込んだ金属外骨格を持つ。そこでは、キリガミからヒントを得た切り込みが、金属ビームアレイを規定する。これらのカットは、材料の固有の特性と組み合わせたものであり、迅速な変形、形状規定、さらに元の形状への復帰にとって実に重要である」(Hwang)。
研究チームは、このキリガミからヒントを得た合成物設計が、複雑な形状を作れることを確認した。円筒からボール、ペパーボトムの凸凹の形状までである。形状変化は、迅速に達成可能である。ボールでインパクトを与えた後、形状は変化し、1/10秒以下で場所に固定された。また、その材料が壊れると、金属内骨格を溶融、再形成することで何度も回復できる。
一つのドローンが地上と空中、さらに海中向けになる
この技術の応用は始まったばかりである。この材料とオンボードパワー、制御、モーターを統合することでチームは、地上車輌から空中装置に自律的に形を変える機能ドローンを作製した。チームは、小型の配置可能な潜水艦も作製した。これには、底に沿って潜水艦の腹部を削り取ることで水槽から物体を回復するため、材料の変形と復元を利用した。
「この材料が多機能ロボットになる条件を示していることはすばらしい。これらの合成物は、モーター、推進装置からの力に十分耐えるほどに強力であるが、直ぐに形を変える。つまり、機械は、その環境に適合するのである」(Barron)。
将来展望では、研究者は、形を変える合成物が新しいソフトロボット分野で役割を担うと見ている。つまり、様々な機能を果たし、損傷を受けた後に自己回復し、耐久性を高め、人と機械のインタフェースやウエアラブルデバイスで様々なアイデアを刺激する機会を実現する。
(詳細は、https://vtx.vt.edu/)