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黄斑変性症患者研究、インプラントチップ、自然の視力が視覚を調整

February, 17, 2022, Stanford--スタンフォード大学の研究チームは、目にチップを取り付けた患者が、チップが「見る」モノと自然の周辺視覚が検出するものとを統合できることを示している。

2年前、スタンフォードの研究チームは、薄いピクセルチップと特殊設計のメガネで、黄斑変性症を患う患者の視野の中心に、限られた視覚を回復できることを示した。最近、後続研究で、研究チームは、この人工視覚が、病気の影響がない患者の周辺視覚に自然に統合できることを確認した。

患者は、視野の中央とサイドでカラーラインの方向を同時に特定できた。成果は、その処置を使って機能視覚を回復できることを示唆している。

Ph.D、眼科教授、Daniel Palankerによると、患者がコヒレント画像を見ることができたことは、「非常に素晴らしいニュース」である。全ての以前の網膜インプラントは、「非常に歪んだ」知覚だったからである。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。

黄斑変性症は、世界中で2億人に影響を与えている。そのほとんどは 60歳以上であり。患者は徐々に視野の中央の視覚を失う。視覚は、衰弱していく、残りの周辺視覚は解像度が低いからである。患者は、読書、顔の認識、他の日常的作業の実行が難しくなる。

症状が起こるのは、網膜の中央、黄斑として知られる箇所の光受容細胞が劣化する時である。この密集した細胞は、目の背後に並んでおり、光を知覚し、信号を他の網膜神経に送り、信号は脳に転送され、視覚が生まれる。光受容細胞が劣化すると、脳は、詳細なコヒレント画像を形成すために必要な情報を、もはや受け取らない。

黄斑変性症の現在の治療は、黄斑に浸透し視覚を阻止する血管をターゲットにビタミンや薬剤などで、視覚の衰弱を遅らせる。しかし、劣化を止めることはできない、また視細胞がなくなると視覚を回復することはできない。

視覚の回復
約20年前、Palankerは、人工網膜を考案した。これは、視細胞に取って代わり、視細胞が対象にしている神経細胞が完全である限り、光リレイの役割を引き継ぐ(網膜内ニューロンは、他の視覚障害、緑内障などで破壊されていることはありうる)。最初のステップは、光を電気信号に変換し、医者が目の背後にインプラントできる薄いデバイスの開発だった。1/12インチのピクセルチップは、電気信号を網膜神経網から脳へ送り、視野の中央の知覚を回復する。

チームは、画像をチップに転送するビデオカメラを備えたメガネを開発した。これらのメガネの近赤外ディスプレイは、強いビデオストリームを目の背後のチップに向けて発する。「われわれは、加齢黄斑変性症で失われた光受容体を光起電力ピクセルで置き換える。さらに、拡張現実(AR)グラスからの不可視光でそれらを活性化する」(Palanker)。

広範囲の前臨床研究後、フランスでリクルートされた5人の患者、全員60歳以上が協力した。患者は、黄斑変性が進んでいて、黄斑中央に光受容体は残っていなかった。患者は、インプラントからの信号を受け取ることができる網膜内神経細胞を維持していた。医者が、見えない箇所の上の網膜を取り去り、下にチップを滑り込ませ、その上に網膜を再び取り付けた。手術は、約2時間続いた。

術後2ヶ月、チームは、インプラントの助けを借りて患者が光を知覚できることを確認した。また、カメラから患者の網膜に投影したパタン、線や文字を見ることができることも確認した。研究チームは、その最初の研究成果を2020年に発表した。

コヒレント画像
しかし、後続の研究では2つの問題が残っていた。1つは、人工中央視覚と残っている自然の周辺視覚を患者が統合できるか。最初のテストは、仮想現実(VR)グラスで行われた。チームは、患者が投影された線や文字を見ることができるかどうかを調べ、一方で周辺視覚はブロックされていた。2番目は、この人工視覚が継続するか。

新しい研究によると、これら両方の問題の答はYESである。

最初の研究では、一人の患者のチップは正しくインプラントされていなかった。また、一人の患者は後に、インプラントとは関係ない原因で死亡した。

後続で、三人の残った患者は、インプラントに投影された画像を見ることができただけでなく、同時に周辺視覚も使うことができた。研究チームは、患者に2つの線の画像を示し、一つは不可視NIR光でインプラントに直接投影、もう1つは、遠く離れたスクリーンに表示された。遠くの画像では、患者は自然の周辺視覚を使わざるを得なかった。個々の線は、異なる色であり、研究者は、個々の線の方向が何であるかを患者に尋ねた。患者は、「両方のパタンを同時に問題なく、適切に見ており、脳が人工と自然の網膜コードを同時に知覚できることを示していた。結果は、予想以上によかった」(Palanker)。

現在、人工視力は、約20/460に限定されており、患者は、大きな文字を見ることができる。「これは、素晴らしい概念実証だ。しかし、それを実際に有用なデバイスにし、多くの患者に適用できるよいにするためにわれわれは解像度を改善する必要があるろ」(Palanker)。

チームは、もっと小さなピクセルのインプラントに取り組んでいる。これは、ラットでは、すでに自然の視覚解像度に一致している。その新しいチップが、20/100を上回る患者に、より優れた視覚を提供することを望んでいる。今後の研究は、家庭など、より自然な設定で、より多くの患者、長期間、インプラントをテストする。
(詳細は、https://med.stanford.edu)