January, 20, 2022, Southampton--サウサンプトン大学の研究者は、防衛科学技術研究所(Dstl)と協働して、ヒト細胞内に潜む危険なバクテリアを殺すナノ粒子ベースの新技術を開発した。
バークホルデリアは、類鼻疽という致死性の病気の原因となる細菌族である。この病気で、毎年、数十万人が死亡している、特に東南アジア。経口投与または静脈投与の抗生物質は、それに効かないことがよくある。そのバクテリアが、マクロファージという白血球細胞に隠れて成長するからである。
Dr Nick Evans とDr Tracey Newmanをリーダーとする新研究は、人の髪の毛の径の1/1000程度のポリマゾームを使ってバクテリアを殺す抗生物質を、細胞内で成長するバクテリアに送達することができる。研究成果は、ACS Nanoに発表された。
マクロファージは、免疫系の細胞であり、感染阻止に重要な役割を担う粒子を血液から取り込むように進化した。しかし、感染して、その内部で成長する、あるバクテリアに悪用されることでもある。
この研究では、チームは、ポリマゾームをバクテリアに感染したマクロファージに加えた。その成果は、ポリマゾームが直ぐに、細胞内のバクテリアに関連するマクロファージに取り込まれることを示していた。このことは、それが、感染箇所に高濃度の抗生物質を送達する効果的な方法であることを意味する。研究チームは、これが最終的に、抗生物質を含むカプセルを注入もしくは吸い込むことで患者の処置が行われ、毎年、多くの生命を救うと考えている。
サウサンプトン大学薬学部、研究の筆頭著者、Eleanor Porges、Ph.D学生は、「この技術に関して非常に魅力的な点は、抗生物質が、必要な箇所に達した時にのみリリースされることである。こうすることでわれわれは、抗生物質の利用を少なくし、通常、効果的でないと考えられる抗生物質を再利用することさえ可能になる」と説明している。
サウサンプトン大学バイオエンジニアリング准教授、Dr Nick Evansは、「興味深かったことは、薬剤を適切な時間と場所でリリースするために、以前の研究は、複雑な化学を利用して光またはpHスケールの変化によりポリマゾームを設計したことである。われわれの研究は、これが必要ないこと示した。つまり、その利用は、複雑さが著しく少なく、恐らく臨床利用向けの製造を容易にする」。
「われわれの研究の成果は、実際のチームの取組であり、Dstlとサウサンプトン大学間でマイクロバイオロジー、イメージング、ナノテクノロジーの全バックグラウンドの人々の協力によるものである。これが、そのデータを注目せずにはいられなくしたものである」と説明している。
チームは現在、Dstlとともに臨床応用向けにこれの開発の早期ステージにある。