January, 20, 2022, Southampton--Natureに発表された新しい研究で、Caltech物理学教授、David Hsiehとそのチームは、レーザを使って過度の有害な熱を出すことなしに、材料の特性を劇的に作り出すことができると報告している。
「これらの実験に必要なレーザは、非常に強力であり、したがって、材料を加熱させないように、損傷を与えないようにすることは難しい。一方で、われわれは、材料がその光を全く吸収しないようにしたい」と論文の主筆、院生Junyi Shanは言う。
Shanによると、チームは、これを回避する「スイートスポット」を見つけた。材料の特性を著しく変え、いかなる不要な熱も与えないように、レーザの周波数を微調整する
研究チームによると、この方法を実証する理想的な材料も見つけた。材料は、マンガン三硫化リンという半導体で、自然には、幅広い赤外周波数でわずかな光しか吸収しない。実験では、チームは、各10-13秒続く強力な赤外イレーザパルスを使って、材料内部の電子のエネルギーを素早く変えた。その結果、材料は非常に不透明な状態から、一定の光カラーで非常に透明な状態にシフトした。
さらに重要なことは、研究チームによると、そのプロセスが可逆的であること。レーザを止めると、材料は直ぐに元の状態に戻る。全く無傷である。材料が光を吸収し、加熱していたなら、これはあり得ない。材料が熱を放出するのに長い時間がかかるからである。新しいプロセスで用いた熱フリー操作は、「コヒレント光工学」として知られている。
その方法が機能するのは、光が半導体内の電子のエネルギーレベル(バンドギャップ)を変えるが、電子そのものを、熱を生成する、異なるエネルギーレベルに叩き出さないからである。
「われわれのレーザは、材料のエネルギーレベルを力強く揺らし、それが材料の特性を変えるが、電子はそのままである」とHsiehは説明している。
この方法がどのうよに機能するかを研究者は、以前に理論化している。例えば、1960年代、Caltechの卒業生、Jon H. Shirley (PhD ’63)は、光が存在する中で材料の電子-エネルギーレベルの解き方について数学的考えを発表している。この研究に立脚して、HsiehのCaltechチームは、UC Santa Barbaraの理論家、Mengxing YeおよびLeon Balentsと共同でマンガン三硫化リンでレーザ照射の期待される効果を計算した。Hsiehによると、理論は、「驚くほど」高精度に実験と一致した。
研究成果は、他の研究者が光を使って人工的に材料を造り出す可能性を示している。例えば、新奇な量子磁性体、これは他の方法では、自然に作り出すことは、難しい、否、不可能である。
「原理的には、この方法は、材料の光学的、磁気的特性、多くの他の特性を変えることができる。これは、材料科学の代替法である。様々な特性の新しい材料を造るよりも、われわれは、ただ一つの材料を取り上げて、究極的に、それに広範な役に立つ特性を附与できるのである」とShanは説明している。
(詳細は、https://www.caltech.edu/)