January, 7, 2022, Durham--デューク大学の電気工学研究者は、エレクトロニクスおよび近赤外、中赤外フォトニクスで一般に使用される種類の材料-カルコゲナイドガラス-の物理的形状を変えると、その利用を電子スペクトルの可視光、UV部分に拡大できることを発見した。
ディテクタ、レンズや光ファイバなどですでに商用利用されているカルコゲナイドガラスは、水中通信、環境モニタリング、生物学的イメージングなどのアプリケーションで使われるようになるかも知れない。
研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
その名前が意味するように、カルコゲナイドガラスは、1つ、それ以上のカルコゲンを含んでいる。硫黄、セレン、テルルなどの化学元素である。材料特性により、カルコゲナイドガラスは、先端電子アプリケーションに積極的に選択される、光スイッチング、超小型ダイレクトレーザ書込(微小なリライト可能CDs)、分子フィンガープリンティングなど。しかし、電磁スペクトルの可視光や紫外部分の光の吸収が強いので、カルコゲナイドガラスは、フォトニクスのアプリケーションに関しては、以前から、近赤外、中赤外に限定されていた。
デュークの電気&コンピュータ工学教授、Natalia Litchinitserは、「これらの材料の光への反応の仕方についての最近の研究は、こうした限界を回避する方法があることを示唆した」とコメントしている。
GaAsの特性についての最近の理論研究でLitchinitserの協力者、米軍CCDC航空&ミサイルセンタのMichael Scalora、University of BresciaのMaria Vincentiは、ナノ構造GaAsが、バルクあるいは薄膜とは光の反応が異なると予測した。高強度光パルスがナノ構造材料と相互作用する仕方のため、隣同士に並んだ材料の細いワイヤは、それらを透過する高調波(より短波長)を作り出す。
256Hz、ミドルCで共鳴するように調整されたギターの弦を考える。研究チームは、適切に製造すると、この弦は、弾かれると、わずかながら、1オクターブ、もしくは2オクターブの周波数でも振動する。
Litchinitserと同教授のPh.D学生、Jiannan Gaoは、同じことがカルコゲナイドガラスでも真実であるかどうかを見ようと考えた。その理論をテストするために、NRLの研究者は、電子ビームリソグラフィと反応性イオンエッチングを使って、ほぼナノ構造化されたガラス基板に三硫化ヒ素の300-nm薄膜を堆積し、幅430nm、間隔625nmの三硫化ヒ素を作製した。
三硫化ヒ素が、600THz以上の光を完全に吸収するとしても、研究チームは、そのナノワイヤが、846THzで微小な信号を透過していることを発見した。それは、堂々たる紫外スペクトルである。
「慎重に設計されたナノワイヤでできたメタサーフェスを近赤外光で照射すると、元の周波数とその第3高調波の両方が生成、透過することを確認した。これは、実に予想外であった。第3高調波は、その材料が、それを吸収すべき範囲に入るからである」(Litchinitser)。
この反直観的な結果は、非線形第3高調波発生と元の周波数との“位相ロック”によるものである。「最初のパルスが第3高調波を捉え、その材料が吸収なしに、その両方を通過させるという、いわばトリックである」とLitchinitserは説明している。
さらに進んで、研究チームは、これらの高調波信号の伝送が最初のナノストリップよりもよくなるカルコゲナイドの異なる形状を設計できるかどうかを検討している。例えば、長くて細いLegoのようなブロックを一定スペース離したペアは、第3および第2高調波で、さらに強力な信号を作り出すとチームは考えている。これらのメタサーフェスを相互に多層スタックすると、効果が強力になると予測している。
成功すれば、そのアプローチは、幅広い範囲の可視およびUVアプリケーションを、一般的な電子材料や長い間これら高周波から締め出されていた中赤外フォトニック材料に解放することになる。
(詳細は、https://pratt.duke.edu)