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ケンブリッジ大、光で「見えない」材料を造る方法を開発

August, 4, 2014, Cambridge--光を針のように使って粒子を縫う新しい技術が、隠れ蓑デバイスを現実に一歩近づけるのに役立つ。
 ケンブリッジ大学の研究チームが開発した、光を使って材料を作り上げる新しい方法は、見えないコート、隠れ蓑のような世界を実現する技術になるものと考えられている。
 「不可視」効果の秘訣は、光と物質との相互作用にある。光が表面に当たると、吸収されるか反射されるかのいずれかであり、これによって物が見えるようになる。しかし、材料をナノスケールで加工して「メタマテリアル」を造ることができ、光との相互作用をコントロールできる材料になる。メタマテリアルによって反射される光は、反射方向が違っていて、物を見えなくする、あるいは物が何か違った物に見えるようにすることができる。
 メタマテリアルの潜在的なアプリケーションの幅は広く、センシングや軍用ステルス技術もこれに含まれる。しかし、隠れ蓑が大規模に実現される前に、研究者はナノスケールで適切な材料を作り上げる方法を確立しなければならない。そのようなナノ形成では、光の利用が非常に役に立つことが示されている。
 ケンブリッジ大学の研究チームが開発した技術は一点に集中しないレーザを数十億の針として用い、金のナノ粒子を縫い合わせて長いストリング(紐)にし、初めて直接水に入れた。これらのストリングスはレゴブロックと同じように、順次スタックして行くことができる。この方法によって、現状の技術を利用するよりも遙かに大量の材料を造ることができる。
 ストリングスを造るために、研究チームは最初、ククルビツリル(CBs)というタル形状の分子を使った。CBsは微小なスペーサーのように振る舞い、ナノ粒子間の間隔を高度にコントロールし、適切な位置に固定することができる。
 ナノ粒子を電気的につなげるために研究チームは、ナノ粒子間にブリッジを造る必要があった。従来の溶接技術は、粒子を溶かしてしまうので使えない。
 ブリッジを制御する秘訣はククルビツリルにある。ナノ粒子間の正確な間隔により、プロセスの制御が著しく向上する。レーザがCBスカフォールド(櫓)における粒子のストリングスに焦点を結ぶとプラズモンが生ずる。これは、伝導金属表面の電子のリップル。この飛び跳ねる電子が光エネルギーを表面の原子に集中させ、ナノ粒子間のブリッジ形成に電子を参加させる。超高速レーザの利用により、このようなブリッジを数十億、連続的に形成し、ナノ粒子を長い紐に縫い合わせる。これはリアルタイムでモニタできる。
(詳細は、www.cam.ac.uk)