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EPFL、分子デバイスで中赤外を可視光に変換

December, 13, 2021, Lausanne--中国、スペイン、オランダの研究者は、振動分子を使って不可視中赤外光を可視光に変換するマイクロデバイスを開発した。このブレイクスルーは、サーマルイメージングや化学あるいは生体分析向けの新しいコンパクトセンサの先触れとなるものである。

光は電磁波である。それは、振動する電界と磁界で構成され空間を伝搬する。全ての波は、その周波数により特徴付けられる、つまり1秒当たりの振動数であり、Hzで計測される。人の目は、400~750THzの周波数を検出でき、これが可視スペクトルの意味である。セルフォーンカメラの光センサは、300THz以下までの周波数を検出できる、一方、光ファイバでインターネット接続に使われているディテクタは、200THz程度に感度がある。

低い周波数では、光で伝送されるエネルギーは、われわれの目や多くの他のセンサの光受容体を始動させるだけのエネルギーがない。100THz以下、Mid-IR、遠赤外スペクトルの周波数には利用できる豊富な情報があることを考えると、これは問題である。例えば、表面温度20℃の身体は、10THzまでの赤外光を発し、これはサーマルイメージングで「見る」ことができる。化学的、生物学的物質の特徴は、Mid-IRに明確な吸収帯域があること。つまりわれわれは、赤外分光法でそれらを遠隔、非破壊に特定できる。ここには多くのアプリケーションがある。

IRを可視光に変換
EPFL、武漢工程大学、バレンシア工科大学、オランダのAMOLFの研究者は、赤外光の周波数を可視光の周波数に変換することで赤外光を検出する新しい方法を開発した。デバイスは、一般に利用でき、高感度の可視光ディテクタの「見る能力」を赤外にまで拡張することができる。このブレイクスルーは、Scienceに発表された。

周波数変換は簡単ではない。光の周波数は、表面で光を反射したり、材料を透過させたりすることで簡単に変えられない原理である、これはエネルギー保存則である。

研究チームは、媒介物、微小な振動分子で、赤外光にエネルギーを付加することでこの問題を回避した。赤外光は、その分子に向けられ、そこで振動エネルギーに変換される。同時に、より高い周波数のレーザビームが、その同じ分子に作用し、余分なエネルギーを供給し、その振動を可視光に変換する。変換プロセスを強めるために分子は、赤外光とレーザエネルギーをその分子に集中させることで光アンテナとして機能する金属ナノ構造に間に挟まれている。

新しい光
EPFLの基礎化学部、Christophe Galland教授は、「その新しいデバイスには多くの素晴らしい特徴がある。まず、変換プロセスはコヒレントである。つまり、元の赤外光に存在する全ての情報が、新しく作られた可視光に忠実にマッピングされる。したがって、携帯電話カメラにあるような標準的なディテクタで、高分解能赤外分光法が実行される。次に、各デバイスは、大きなピクセルアレイに組込可能である。最後に、その方法は、非常に多様性があり、様々な周波数に適用可能である。様々な振動モードを備えた分子を選択するだけでよい」と説明している。

「しかし、これまでのところ、そのデバイスの光変換効率は、まだ非常に低い。われわれは、さらにそれを改善することに取り組んでいる」と論文の筆頭著者、Dr Wen Chenは話している。これが商用アプリケーションに向けた重要なステップである。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)