December, 7, 2021, 京都/名古屋--京都大学、岩田想 医学研究科教授らの研究グループは、全反射赤外分光法でGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一つ、ムスカリン性アセチルコリン受容体(M2R)に対する、異なる薬剤効能(ligand efficacy)を有する各種薬物結合に伴う構造変化を捉えることに成功した。
さらに、それぞれの赤外差スペクトルにおけるアミド-Iバンドの変化が各種薬物間で分類できる可能性を見出した。実際、細胞アッセイを用いたGタンパク質活性の大きさとアミド-Iバンドの変化との間に相関性があることが分かった。
この研究成果により、全反射赤外分光法によって得られたアミド-Iのバンド変化がM2Rのligand efficacyを決めるプローブとなり得ることを示しただけでなく、従来の構造ベースの薬物結合ポケットを基盤とした薬剤設計指針とは異なる、相互作用解析から動的構造情報を抽出し薬効度を制御する新たな薬剤設計指針を提示できると期待される。
研究成果は、国際学術誌「Communications Biology」に掲載された。
研究グループ
岩田想 医学研究科教授、片山耕大 名古屋工業大学助教、神取秀樹 同教授、魲洸平 同博士課程学生(研究当時)、清水(小林)拓也 関西医科大学教授、寿野良二 同講師、井上飛鳥 東北大学准教授
(詳細、https://www.kyoto-u.ac.jp)