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電子の集団振動で光子を量子ドットへ運ぶ

November, 16, 2021, 大阪--大阪大学産業科学研究所の深井利央(博士後期課程(研究当時))、藤田高史助教、木山治樹助教、大岩顕教授(兼 量子情報・量子生命研究センター)らの研究グループは、表面プラズモンポラリトンという光で励起される電子の集団振動を利用して、半導体横型量子ドットへの光子の照射をより効率的に行うことが可能であることを世界で初めて明らかにした。

半導体量子ドット中の電子スピンは量子コンピュータの量子ビットであり、一方、光子は量子通信の量子ビット。この量子の間で量子情報を変換できると量子中継が可能となり、絶対に安全な通信や量子インターネットなど将来の量子情報のインフラ構築に貢献する。これまで数百ナノメートル程度の極めて微小な量子ドットに単一光子を正確に照射することは極めて困難で、1万から10万回光子を照射しても1回程度しか量子ドット中の単一電子へ変換されないという低い変換効率が大きな問題だった。これは将来、量子通信の通信速度を律速し、実用化を阻む大きな要因の一つ。

今回、大岩教授らの研究グループは、同心円状のリング構造を持つ表面プラズモンアンテナをGaAs量子ドットの直上に作製し、アンテナの表面を伝搬する電子の集団振動により、垂直に照射した光を効率的に中央の開口部に集光することで、量子ドットへの光子の照射効率を大幅に向上することに成功した。この成果は長距離の量子暗号通信や量子インターネットの構築を可能にする量子中継器の開発を加速することが期待される。

研究成果は、日本科学誌「Applied Physics Express」に、11月10日(水)に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)