July, 28, 2014, Dresden--ヘルムホルツセンタ・ドレスデン-デュッセルドルフ(HZDR)、ウイーン工科大学、マリー・キュリー・スクウォドフスカ大学の研究チームは、ほぼ完全な半導体結晶をシリコンナノワイヤに埋め込むことに成功した。ハイブリッドナノワイヤを作製するこの新しい方法により、将来的に高速・多機能処理ユニットをシングルチップで実現できるようになる。
ナノオプトエレクトロニクスは、将来のチップ技術の基軸と考えられているが、研究は大きな課題に直面している。電子コンポーネントの収容スペースがますます小さくなる。他方、化合物半導体を従来の材料に埋め込まなければならない。シリコンとは対照的に極めて電子移動度の高いそのような半導体の多くは、最新のシリコンベースCMOS技術のパフォーマンスを高める。
研究チームは、これら両方の目標に一歩近づいた。InAsでできた化合物半導体をシリコンナノワイヤに集積した。これは、非常にコンパクトなチップ作製に最適である。
半導体結晶のこのような集積は、これまでそのような「ヘテロナノワイヤ」にとって最大の障害だった。ナノメートルの範囲を超えると、結晶格子不整合は常に多くの欠陥に帰着したからだ。今回、研究チームは、初めてほぼ完璧にInAs結晶をナノワイヤに埋め込んだ。
このプロセスを実行するために、イオンビーム合成と、キセノンフラッシュランプを使った熱処理を利用した。両技術はHZDRが長年の経験を持っている。研究チームはまず、イオンインプラント(打込み)を利用して、所定の数の原子を正確にナノワイヤに導入する必要があった。次に、シリコンワイヤのフラッシュランプ・アニーリングを液相状態で、20ミリ秒実施した。「厚さがわずか15nmの酸化シリコンシェルは、液体ナノワイヤ形状を維持し、一方インプラントされた原子はInAs結晶を形成した」とHZDRのDr. Slawomir Prucnal氏は説明している。
研究グループ長、Dr. Wolfgang Skorupa氏は、「原子は、液体-シリコン相の中で急速に拡散し、わずか数ミリ秒で欠陥のない単結晶を形成した。ほぼ完璧な界面で周囲と区画されている」と説明している。次のステップでは、研究チームは別の化合物半導体をシリコンナノワイヤに埋め込み、サイズや結晶分布の最適化を行う予定。
研究成果は、Nano Researchに発表されている。