November, 10, 2021, 仙台--東北大学の研究チームは、熱可塑性材料に熱と張力を加えて任意の断面デザインのファイバを量産する「熱延伸法」により、BEM電極素子の量産化に世界で初めて成功した。
生体分子を可視化する顕微鏡技術は生命現象の理解を可能にし、疾患メカニズムの解明や治療法の開発に貢献する。近年開発されている「バイポーラ電気化学顕微鏡(BEM)」は、高密度な電極基板と光シグナルによって分子濃度分布を高解像度で可視化することが可能。しかし歴史の浅いこの顕微鏡の電極基板を安定して量産する方法は確立されておらず、基礎研究や実用化のボトルネックとなっていた。さらに原理上の解像度は「光の回折限界」(光を区別して観察することのできる限界)が上限となる課題があった。
東北大学COI東北拠点の岩間智紀(東北大学大学院環境科学研究科)・郭媛元(東北大学学際科学フロンティア研究所)・井上久美(東北大学大学院環境科学研究科・山梨大学工学部)らは、熱可塑性材料に熱と張力を加えて任意の断面デザインのファイバを量産する「熱延伸法」により、BEM電極素子の量産化に世界で初めて成功した。
さらに同手法によりテーパードBEM電極素子の作製に成功し、小さな領域を大きく拡大された光イメージとして可視化する「拡大イメージング」 の原理実証に世界で初めて成功した。
BEMの実用化や超光学限界分子イメージングに繋がる本研究成果は2021年11月4日に「Advanced Materials Technologies」誌に掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)